背景には「ブラック体質」「選民意識」「人事制度」 不祥事を連発するテレビ局の「なぜ」
フジ社員、賭博で逮捕
フジテレビの鈴木善貴プロデューサーがオンラインカジノでの常習賭博の疑いで逮捕された。彼は「アウト×デラックス」「さんまのお笑い向上委員会」「ホンマでっか!?TV」「ぽかぽか」などを担当していた業界でも有名な人物である。「ぽかぽか」に出演していたフジテレビの山本賢太アナウンサーも、オンラインカジノを利用したとして、賭博容疑で書類送検されている。
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鈴木氏は社内調査があった際にも嘘をついていて、その後も賭博を続けていたと言われている。また、「先輩に誘われて始めた」「周りの人もやっているから大丈夫だと思った」と証言しているという話もある。中居正広氏をめぐるトラブルでスポンサーが一斉に離れ、未曾有の経営危機に陥っているフジテレビにとっては、さらなる大打撃となる不祥事である。
問題があるのはフジテレビだけにとどまらない。テレビ局員による不祥事はたびたびニュースになり、世間を騒がせている。3月には、テレビ朝日でエグゼクティブディレクターを務めていた友寄隆英氏が、パワハラと経費横領で懲戒処分を受けたことが発表された。彼は制作に携わるだけではなく、番組に自ら出演していることも多く、「ナスD」の愛称で親しまれてきた名物テレビマンである。テレビ朝日でエース級の活躍をしていた彼が不祥事を起こしてしまったのだから、目も当てられない。
それ以外にも、薬物所持、寄付金着服など、テレビ局員の不祥事は枚挙にいとまがない。あらゆることについてコンプライアンスが重視される世の中になっているのに、テレビ局員のトラブルが続くのはなぜなのか。
その理由として真っ先に考えられるのは、テレビ業界が一般社会の常識が通じない世界であるということだ。私自身も昔、テレビの制作現場で仕事をしていたことがあり、それは間違いないと言える。
最近ではテレビの世界でも「働き方改革」が進んでいて、昔のようなブラックな労働環境は減ってきている、と言われることがある。たしかにそういう側面はあるのだが、私が見聞きする限りでは、根本的な業界の体質はそれほど変わっていない。
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