「車両内でスクワット」「額から汗がピチャピチャ流れ落ち」…「南北線」木刀振り回し男 目撃者が語る犯行直前の“異様な行動”

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 6月25日午後3時過ぎ、東京メトロ南北線の車内で木刀を振り回した40代の男が暴力行為処罰法違反の容疑で現行犯逮捕された。幸い怪我人はいないようだが、乗り合わせた乗客の話から生々しい状況が浮かび上がった。

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 ネット上では南北線・後楽園駅のホームで男が駅員に取り押さえられた瞬間の動画が拡散されている。たまたまこの列車に乗り合わせた男性が、それまでの状況を語った。

「私は南北線の上り(目黒方面行き)に乗っていました。午後3時過ぎですから、駒込駅や東大前駅からは高校生がたくさん乗り込んでくる時間帯で、車内には学生服姿の人がたくさんいて席もほとんど埋まっていました」

 東大前駅と聞いてピンと来る読者もいるだろう。5月7日、南北線・東大前駅で、東大生が包丁で切りつけられる事件が起こったばかりだ。

「私は2号車に乗っていたんですが、その車両に棒状のものを持った男がいました。黒いTシャツを着て白いパンツをはいていました。棒状のものは、バットより長くて長刀(なぎなた)より短いように見えました」

 それが長さ1メートルほどの木刀だった。ちなみに、木刀は日本刀に似せて作られているものの刃はついていないので、それを所持しても銃刀法違反には当たらない。ただし、正当な理由がなく携帯すれば、軽犯罪法の第1条《人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具》に当たり、処罰の対象となり得る。

「しばらくすると、男は棒を持ってスクワットを始めました。その時、私は男と目が合ってしまいました。すると男は、しゃがんだまま棒を振り回し始めたのです。その時ようやく、男の持っていたものが木刀だと分かりました」

 列車内でスクワットとは、確かに異様な光景である。

男が追ってきた

「それでも周りの乗客は何も思わなかったようですが、明らかに様子がおかしく、怖くなってきたので、私は2つ隣の4号車に移りました」

 列車内で発生した事件から身を守るには、その車両から離れることが鉄則と言われる。

「しかし、少し経つとその男も4号車にやって来ました。2号車で男と目が合っていた私は、何か言いがかりをつけるために自分を追ってきたのではないかと思いました。男の顔からはピチャピチャと汗が流れ落ち、さっきまでとは明らかに様子が違っていました。殺されるかも……とも考えました」

 多量の汗は犯行を意識しての異変だったのかもしれない。さすがに周りの乗客も男の異常に気づき始めた。

「すると男は、6号車に歩いて行ったのです」

 男が木刀を振り回して暴れたのは6号車だった。

「6号車にいた乗客が私のいる4号車になだれ込んできました。その頃、ちょうど後楽園駅に着きました」

 ネット上で拡散された動画には、この後、男が取り押さえられる様子が映されている。だが、車内ではまだ混乱が続いていたという。

「腰を抜かして倒れたおじいさんもいましたし、泣き叫ぶ女子高生もいました。改札の外に出ると、転んでいる子供もいました。『こんなことになるなら後楽園に行きたいなんて言わなきゃよかった』と漏らしている女子高生もいました」

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