国分太一、中居正広に小山慶一郎… 「仕切れるジャニーズMC」が“消える”理由 テレビ局から忖度を受けることで特権意識が

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変わり始めたジャニーズ新世代……「守られる側」から「選ばれる側」へのシフト

 国分さんは処分を受けて、「甘えと慢心があった」と認めている。「24時間テレビ」や情報番組といった信頼が前提の番組に起用されることで、国分さんたちは「信頼されること」に慣れ、「信頼を保つ努力」をしなくなったのかもしれない。

 しかし対照的に、こうした旧世代の構造から脱却しつつある動きもある。例えば、菊池風磨さん・佐藤勝利さん・松島聡さんらによる新プロジェクト「timelesz project」だ。旧グループ名を自ら手放し、ジャニー喜多川氏命名というブランドに頼らず、新体制での再出発を選んだ彼らの決断は、大きな反響を巻き起こした。

 そこには、「信頼は演じるものではなく、積み重ねるものだ」という、より地に足のついた認識がある。高いプロ意識とエンターテイナースキルという、ジャニーズアイドルのDNAは保ちつつ、ファンとの向き合い方はずいぶん透明性の高いものになっていた。Instagramなどで丁寧にファンの疑問に答える菊池さんの姿勢は多くの新規ファンも獲得し、候補生に向ける辛辣(しんらつ)な言葉さえ「菊池風磨構文」としてSNSを席巻。かつてのジャニーズのように「守られる」存在から、説明責任を果たす表現者へとシフトした姿勢の差が、信頼の質を変えたといえるのではないだろうか。

 いまや、視聴者は単なる「進行のうまさ」では納得しない。「話を回せる」「空気を読める」という技術的なスキルではなく、その人自身の在り方や、トラブル時の対応こそがMCに求められる本当の資質だと、世間は気付き始めているのだろう。

 MC席に座り冠番組を持つことは、かつてある種の「勝者の証し」だった。だが今、その椅子に座る者には、もっと高い次元の倫理が求められている。

 国分さんの無期限活動停止は、旧ジャニーズ時代の「仕切れるアイドル」たちが抱えてきた脆さの象徴だ。同じ過ちを繰り返さないために必要なのは、スキャンダル後の対応ではなく、スキャンダルを起こさない仕組みと意識そのものをテレビ局も含めてつくることなのだろう。「仕切れる男」が信頼されるのではない。信頼できる男こそが番組を仕切るべき時代がようやく始まった。

冨士海ネコ(ライター)

デイリー新潮編集部

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