またも「朝令暮改」のトランプ政権、抗議デモの大混乱をヨソに“一部で不法移民の摘発中止”…MAGA主義者の心が離れれば窮地に
特定の業界で強制捜査が「一時中止」に
トランプ政権の不法移民対策を巡り米国社会が揺れている。カリフォルニア州ロサンゼルスで12日に始まった不法移民摘発への抗議デモは16州に拡大し、沈静化する兆しが見えていない。
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ロイターが12日に発表した世論調査の結果によれば、「移民対策に反対する抗議活動は行き過ぎか」との質問に対して「イエス」が46%と、「ノー」の38%を上回った。支持政党別では共和党で「イエス」が7割超、民主党で「ノー」が7割超となっている。
トランプ大統領はさらに不法移民対策を強化する構えだ。15日、民主党が主導する都市での不法移民の強制送還を強化するよう連邦当局に指示した。ただし一部では、政策変更を余儀なくされている。理由は人出不足だ。
ロイターは14日、トランプ政権が移民規制当局に対し、農業部門やホテル、レストランでの不法移民摘発を一時停止するよう指示したと報じた。農場やホテルなどのホスピタリティ産業は労働力を移民に大きく依存しており、農業団体などは政権に対し、強制送還措置の免除を強く求めていた。
23年の出生数は1979年以来の水準に
不法移民対策は米国経済にとってもマイナス材料だ。ダラス連邦準備銀行のエコノミストは、移民の強制送還が続けば、今年の米国内総生産の伸び率は1ポイント押し下げられ、インフレ率は0.3%ポイント上振れすると予測する。
トランプ氏は不法移民対策でも朝令暮改ぶりを示した形だが、これには米国の人口動態が関係している。
米国勢調査局は昨年末、昨年の人口は前年比で約330万人増加との推計を公表した。増加率約1%は約20年ぶりの数字だが、その1%の8割にあたる約280万人は移民だ。米国への移民流入は4年連続で増加している。
主要先進国と同様、米国でも少子化が顕著となっている。米国立保健統計センターは今年3月、2023年の出生数は前年比2%減の360万人となり、1979年以来の水準に低下したことを発表した。
米国人女性の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の数)は1.7にまで落ち込み、一国の人口水準の維持に必要とされる2.1を大幅に下回っている。
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