自己破産の前例も…フジテレビが提訴「港前社長」「大多元専務」を待つ恐るべき“訴訟地獄”とは

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 古巣から「訴訟の準備に入った」と発表された港浩一前社長(73)と大多亮元専務(66)。「旧体制との決別」を示したいフジテレビの一方で、過去の裁判例に照らすと、二人を待ち受ける前途はあまりにも多難なようで……。

※本稿は「週刊新潮」2025年6月19日号掲載の特集「新生『フジテレビ』を猛アピール 港前社長と大多元専務を待つ“訴訟地獄”の着地点」を再編集した記事です。

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 今月5日、東京・お台場のフジテレビ本社で行われた記者会見で、清水賢治社長(64)は、港浩一前社長と大多亮元専務に対して「訴訟の準備に入った」と発表した。

 元タレントの中居正広氏(52)が、フジの元女性アナウンサーとの間で起こしたトラブルに端を発する一連の問題を巡って、旧経営陣の法的責任を問う姿勢を鮮明にしたのだ。

 会見に集まった記者団から、旧経営陣へは損害賠償を請求することになるのかと質問された清水社長は、

「まだ詳しいことは申し上げられませんが、ただ、現象として見れば、フジテレビに今、放送収入の大幅な低下があり、被害が生じている」

 と口にして、フジの苦境を吐露したのだった。

 実際、先月末に公開された在京民放キー局5社の昨年度の連結決算は、フジテレビの親会社フジ・メディア・ホールディングス(フジHD)を除く4社の売上高が過去最高を記録した。

 放送記者が解説するには、

「日テレ、TBS、テレ朝、テレ東の放送収入が伸びる中、フジだけが前年度比2.8%の減収でした。TBSの社長会見では、フジへのCM出稿停止の影響が“結構あると思う”と説明しています」

寝耳に水

 ご存じの通り、一連の「中居問題」が発覚後、フジにCMを出稿する企業は激減した。大手企業をはじめ約7割のスポンサーがCMを見合わせたままなのだ。

「清水社長が続々と発表する改革案、それにフジが総務省に提出した報告書に一定の評価を示した政府は、今月に入って各省庁にフジへ政府広報などのCM出稿を認める方針を示しました。とはいえ、経団連などに属する企業の多くは、静観の構えです」(前出の記者)

 大手企業のCM再開はフジの悲願だけに、内外に生まれ変わった姿を示したい。

 そのためにも、今回の訴訟は「旧体制との決別」を明確に示す狙いがあるとみられているが、港氏と大多氏にしてみれば寝耳に水だったに違いない。

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