インドネシア戦で“格の違い”を見せつけた森保ジャパン 一方で浮き彫りになった“守備の要”ポジションのタレント不足

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 2026年北中米W杯のアジア最終予選グループCの第10節、最終戦が6月10日に吹田スタジアムで開催され、日本はインドネシアに6-0の快勝を収めて有終の美を飾った。すでに日本の1位突破は決まっており、オーストラリアも最終戦でアウェーのサウジアラビア戦を2-1の逆転勝利により2位を確定させた。【六川亨/サッカージャーナリスト】

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 そしてプレーオフである10月のアジア4次予選に進出する2チームも、3位のサウジアラビアと4位のインドネシアで確定した。プレーオフでのシード権はグループステージの成績ではなくFIFAランクによって決まるため、グループC最終戦の結果に関係なくサウジアラビアが3位、インドネシアが4位となる。

 このことは、インドネシアの戦い方に影響を与えたようだ。

 5日前のアウェーのオーストラリア戦は、前半で眠気を覚えるほど酷い試合内容だった。その原因は、日本がほぼ“2軍のメンバー”をスタメンに起用したことと、集合してから3日後のハードスケジュールに加え、オーストラリアがなり振り構わず「勝点1」を目標に“試合を壊し”に来たことが指摘できる。

 自陣に引きこもってスペースを消す“専守防衛”の戦い方。これに対し経験の浅い日本も有効な攻撃方法を見いだせず、終了間際の失点で今予選初の黒星を喫した。

 同じことは3月にホームで行われたサウジアラビア戦でも経験していた。守備を固めるサウジアラビアのシュートはたったの1本。それでも彼らはW杯出場を決めた日本に引き分けたことで当初の目的を達成したのである。

オーストラリアと日本の“格”

 頑なに守りを固め、カウンターかセットプレーから勝機を見いだす。これはこれで昔から“弱者の戦略”として認知されてきた。ジャイアントキリングの常道であり、カタールW杯の日本はこれで世界を驚かせた。

 ところがインドネシアは、すでに4位以内が確定しているため、パトリック・クライファート監督もオープンな試合を挑んできた。とは言え日本は、5日前のオーストラリア戦とは違った。

 格の違いを見せつけたのは、鎌田大地と久保建英だ。鎌田は得意とする変幻自在のポジショニングで攻撃の潤滑油となりつつ、前半15分には後方からの飛び出しで先制点をヘッドで決めた。

 さらに前半アディショナルタイム6分には久保のパスを受けて、彼にしては珍しいドリブル突破の連続プレーから3点目を決めた。

 そして久保は左CKからのトリックプレーで日本の2点目をゲット。前半のうちに試合の趨勢を決めてしまったのである。

 クライファート監督をして「日本は質が高くW杯レベルのチーム。個人としても組織としても素晴らしい。日本は勝つにふさわしいチームだった」と日本を称えた。

 オープンな試合を挑んだことで日本とインドネシアの現在地の違いを実感したのではないだろうか。近年、急成長を遂げているインドネシアをはじめ、東南アジアのレベルアップもアジア全体の底上げには必要になるだけに、彼らのチャレンジを温かく見守りたいと思う。

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