松井秀喜氏 「長嶋監督との約束」はホントに“巨人指揮官就任”なのか? 実現への高い壁 生前ミスターが語っていた“もう一つの願い”とは

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 6月3日、長嶋茂雄さんが死去した。それを受けてにわかに取り沙汰されているのが、松井秀喜氏(50)の巨人監督就任の可能性である。弔問に訪れた後に、記者団の前で「長嶋監督との約束がある」と発言。それが「将来的に巨人の監督になることだ」と報じられ、メディアやファンの間で大きな話題となっているのだ。確かにこれまで監督要請を断り続けてきたとされる松井氏が、ついに就任を決意したとしたら、そのインパクトは大きい。しかし、実現には、大きな壁もあるのもまた事実なのだという。

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マスコミは一斉に

 松井氏が長嶋邸を訪れたのは、死去の翌日、6月4日の早朝。住まいであるNYから駆け付け、2時間以上、滞在した。故人宅を出てきた松井氏は報道陣の問いかけに「説明しきれないくらいお話をさせていただきました」とコメント。恩師からの教えをどんな形で生かすのか、と問われ、以下のように話をしたのである。

「長嶋監督と生前、約束したこともあります。ここでは今はお話しすることができませんが、その約束を果たしたいなと思っています」

「長嶋監督との約束」――。この謎めいた、しかし、キャッチーなコメントにメディアは反応。約束とは何か? に話題は集中した。

 当日のワイドショーでは、巨人OBが「それは巨人の監督就任しかないでしょう」と発言。翌日のスポーツ紙でも、「巨人監督など指導者も」(スポーツ報知)、「師が愛してやまない巨人を監督として、先頭で率いる日が来るのか」(日刊スポーツ)、「将来的な巨人監督を含めて球界への恩返しを果たすのは、長嶋さんとの共通認識」(スポーツニッポン)と一斉に報じた。

前向き発言連発

 2012年の引退以来、松井氏には何度も巨人監督就任の話が取り沙汰されてきた。直後には当時の白石興二郎オーナー、翌年には渡邉恒雄・読売グループ会長が就任を希望する発言をし、2014年には渡邉、白石、長嶋、松井の会談がセッティングされ、その席で要請が行われたほど。しかし、松井が首を縦に振ることはなく、キャンプで4度に亘り、臨時コーチの肩書で指導しているものの、ユニホームに袖を通すことのないまま、現在に至っている。その間、高橋由伸、阿部慎之助という後輩がチームの指揮を執っていることもあり、その日は遠ざかったと見えたが、急に「前向き」とも取られる発言をし始めたのは、今年に入ってからのことである。

 1月5日にTBS系列で放映されたイチローとの対談番組で、「長嶋さんが喜ぶことをしたいなと。元気なうちに自分の元気な姿を見せたいなという気持ちはありますけどね」と発言。これに巨人の山口寿一オーナーが「巨人復帰? ねえ、そういう風になるといいですよね」と述べた。

 1月19日には、テレビ朝日の番組に出演。「巨人からオファーが来たらどうしますか」と聞かれ、「どこのユニホームを着るのが一番自然で、情熱が燃えてくるのかと考えたら、もちろん巨人なんじゃないかと思いますよ」。さらには、5月7日に行われた巨人―阪神戦で解説を務めた際、築地に建設が予定されている新球場について「そこでユニホームを着て立っているイメージがありますか」と問われ、「かもしれないですね」と否定をしなかったのである。

 最大公約数的な、当たり障りのない発言を旨とする松井にしては、大きな変化なのだ。

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