5月31日と6月1日のプロ野球で「勝利を分けた」継投を徹底分析 「巨人」「ロッテ」にはミスが目についた一方で「阪神」は

スポーツ 野球

  • ブックマーク

 野球においてはあらゆる選択の場面があり、その判断によって勝敗が分かれるケースも少なくない。よく取り上げられることが多いのが、投手交代についてだが、セ・パ交流戦直前の1週間となった5月27日から6月1日の試合では、改めて「勝ちパターン」の継投の難しさを感じさせる場面が多かった。【西尾典文/野球ライター】

 ***

投手育成に定評のあるロッテ・吉井監督だが…

 今シーズン、特に継投に苦しんでいる印象を受けるのがパ・リーグで最下位に沈んでいるロッテだ。長年クローザーを務めてきた益田直也が開幕から安定感を欠く投球が続き、5月2日のソフトバンク戦では2点差を守り切れず逆転サヨナラ負けを喫したのを最後に、二軍調整が続いている。

 また、中継ぎも沢村拓一や西村天裕ら実績のある投手の調子が軒並み上がらず、勝ちパターンを確立できていない。その影響が大きく出たのが日本ハムとの3連戦だった。

 5月31日の試合では2回に1点を先制されたものの、5回に5安打を集中して一挙3点を奪い逆転に成功。2点のリードを守ったまま、ロッテの首脳陣は、9回のマウンドを鈴木昭汰に任せた。

 しかし、鈴木はいきなり連打を浴びてピンチを招くと、何とかツーアウトとしながらも、代打の矢沢宏太に2点タイムリーを打たれて同点。続く郡司裕也にもライト前に運ばれて、4対3で逆転サヨナラ負けを喫したのだ。

 益田が登録抹消されてから、鈴木は抑えを任されていた。この試合の前までの成績も防御率1点台と決して悪くないことを考えれば、緊迫した場面で鈴木を投入した判断は、不思議ではない。

 とはいえ、鈴木は一軍で十分な活躍を見せたシーズンは昨年のみ。抑え投手としての経験は決して十分ではない。同点に追いつかれたタイミングで、投手交代の選択肢もあったのではないだろうか。

ストレートに強いレイエスに、ゲレーロをぶつけてしまった

 また、サヨナラタイムリーを放った郡司は、この試合で先制タイムリーを放っており、勝負強さには定評がある。矢沢に盗塁を決められて、一塁が空いた時点で、無理に勝負する必要はなかった。ロッテの捕手は、高卒2年目の寺地隆成で、バッテリーの経験不足が露呈してしまったように感じた。

 さらに、ロッテは翌6月1日の試合でも手痛い負けを喫してしまう。先発のボスが、8回まで日本ハム打線を相手に被安打2、無失点と好投した。

 だが、ロッテ打線は再三のチャンスを生かせず、0対0のまま9回に突入する。ここでロッテベンチはボスに代えて、ゲレーロをマウンドに送るも、先頭打者のレイエスにライトスタンドへ運ばれ、2試合連続のサヨナラ負けとなった。

 ゲレーロは150キロ台後半のスピードが武器だが、投球の大半がストレートで、力で勝負するタイプの投手である。それに対して、サヨナラホームランを放ったレイエスは、ストレートに滅法強く、長打力も抜群だ。この点を考慮すれば、この場面でゲレーロを投入した判断には疑問が残った。

 ロッテの吉井理人監督は、現役時代先発、リリーフの両方で実績があり、投手育成に定評がある指導者だ。ここから、どうやってブルペン陣を立て直していくかに注目したい。

次ページ:大勢と守護神・マルティネスの「勝利の方程式」に綻びが?

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。