「不当で差別的な嫌がらせを受けている」 相撲協会から目の敵にされた「元白鵬」の心中 “退職”を決意させた決定的な出来事とは

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退職後の身の振り方

 かつては立ち合いでエルボースマッシュのようなかち上げを食らわせ、また観客に三本締めを促すなど品格を欠く振る舞いがあった宮城野親方は、相撲協会から目の敵にされてきた。一方で先の関係者が言うには、

「かねて親方は“協会から不当で差別的な嫌がらせを受けている”との思いにとらわれてきました。その最たるものは、功績のある横綱に認められる『一代年寄』を名乗れなかったことです」

 襲名の目安は優勝20度以上とされ、過去に大鵬、北の湖、貴乃花そして千代の富士(辞退)には認められながら、“なぜ自分はダメなのか”と、強い不満を抱いていたというのだ。

 そうした思いを裏付けるかのように北青鵬の事件では、直近で弟子が起こした問題の責任を問われた陸奥親方や二所ノ関親方と比べ、処分は圧倒的に重かった。さらに最近、決定的な出来事があったという。

「相撲協会の幹部らと話し合う場で親方が『部屋の閉鎖はいつ解かれるのか』と尋ねたら、『あと1年はできない』と言われてしまった。これで完全に嫌気がさしたというのです」(同)

 とのことで、退職後の身の振り方については、

「まずはアマチュア相撲の団体に身を置いて指導を行う。その間に資金をため、ゆくゆくは『世界相撲グランドスラム』といった組織を立ち上げ、元力士だけでなく海外のアメフトやレスリングの経験者などにも、幅広く参加を呼びかけていくと聞いています」(同)

協会のおごり

 実に壮大な“青写真”である。黒いキャップにマスク姿で部屋から現れた宮城野親方に問うと、一瞥して、

「協会を通してください。ついて来ないでください」

 と言うのみ。スポーツライターの小林信也氏は、

「協会には『日本以外に相撲はない』とのおごりが見られますが、相撲は世界的マーケットで歓迎されるポテンシャルがあります。現に土俵のある相撲居酒屋は、インバウンド客で大にぎわいです。日本では奇異に感じられる“プロレス的相撲”も、それを束ねられる興行プロモーターがいれば、世界を舞台に花開くでしょう」

 さらに続けて、

「相撲はスポーツベッティングの格好の対象で、大相撲を賭けの対象にするブックメーカーも現れるでしょう。宮城野親方を目の敵にする協会は、のちのち苦い思いをするかもしれません」

 大横綱のセカンドキャリアはいかに……。

デイリー新潮編集部

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