「5キロ2000円」を連呼する小泉進次郎農水相が言わない“本当のコメ事情” 「国民に新米の価格も下がるかのような誤解を」

国内 社会

  • ブックマーク

銘柄米の小売価格は下がらない

 しかし、政治部デスクは、

「小泉農水相は各局の番組などで『5キロ2000円』と繰り返しており、国民に新米の価格も下がるかのような誤解を与えているとの声も上がっています」

 と指摘する。

 農水省は26日、随意契約による備蓄米の売渡価格を公式ホームページで公表。平均〈10700円/60kg〉としたほか、〈一般的なマージンで既存在庫とブレンドしない前提で試算すると、小売価格が2000円程度/5kg(税込2160円程度)となる水準〉と説明した。備蓄米は大手流通業者を通じて早ければ6月上旬にも店頭に並ぶ見通しである。

 だが、コメ問題に詳しい、宇都宮大学農学部助教の小川真如氏は「随意契約方式」が全体の米価引き下げに資するか、疑問を呈する。

「消費者にとってなじみのある、特定の品種や産地が指定されて商品化された、いわゆる銘柄米は、品種や産地が多様な備蓄米が放出されたからといって、必ずしも供給量が増えるわけではありません。すでに、備蓄米を使ったブレンド米の価格と銘柄米の価格で差が生まれています。平均価格で見ると、銘柄米の価格は、備蓄米による平均価格の押し下げ効果を打ち消すほど上昇しています」

 備蓄米が放出されても、関係のない銘柄米の小売価格は下がらないというのだ。

「銘柄米の値段は変わらない一方、国は備蓄米をこれまでの落札価格より大幅に安く販売するので、ブレンド米だけは一時期、極端に安くなるでしょう。しかしそれだけの、一過性のイベントに終わる可能性があります」(同)

 全体的なコメの価格が下がらなければ期待感は逆風に変わる。小泉農水相は、果たして石破政権の浮沈が懸かったこの大勝負に勝てるのか。5月29日発売の「週刊新潮」では、現在のコメ事情のさらなる解説のほか、「5キロ2000円」を連呼する小泉農水相と父・小泉純一郎元首相(83)との共通点についても報じる。

週刊新潮 2025年6月5日号掲載

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

あなたの情報がスクープに!

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。