「同じゴール設定をして、同じ方向を向く」 ラグビー“多国籍”日本代表を支えた裏方が明かすマネジメント術

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大村武則氏インタビュー第4回

 多様なバックグラウンドを持つ選手たちが集まれば、摩擦が起きる。そのようなチームをどのようにまとめればいいのか。2015年、2019年のW杯で快進撃をみせたラグビー日本代表。チームマネージャーだった大村武則氏(59)が取った行動とは。(全4回の第4回)

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 スポーツの中でも、特にラグビーは多国籍のメンバーで構成される。その選手構成は、日本国内で育った選手に加え、フィジー、サモア、トンガといった太平洋諸国や、ニュージーランド、オーストラリア、韓国など。様々なバックグラウンドを持つ選手たちが一堂に会する。

「彼らは全然違う価値観で集まっていますから」と大村氏は言う。異なる文化、言語、宗教、価値観を持つ人々がどのようにして一つのチームとして機能し、世界の強豪国と互角に戦えるほどの力を発揮したのか。

「多国籍チームの日本代表が強くなる過程のシステムやリーダーシップ、マネジメントは様々なビジネスシーンでも有効だと思います。違う価値観を持つ人間がどうやったら一つになっていけるのか。どのようにして同じ目的を共有できるのか。みなで必死に考えてきました」

 重要だったのは、「同じゴール設定をして、同じ方向を向く」ことだった。

 ジョン・カーワン(JK)、エディ・ジョーンズ、ジェイミー・ジョセフら、歴代ヘッドコーチたちは「上手に自分のキャラを前に出しながらうまくやっていました」と大村氏は振り返る。

 特にエディ・ジョーンズは「徹底的に管理」するスタイルで知られる。あらゆることを紙に書き出し、細部にこだわり抜いた。一方、ジェイミー・ジョセフは信頼や自律を重んじるタイプだ。

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