「JAに放出すべきでなかった」 備蓄米が消費者に届かない本当の理由 「米卸がコメをため込んでいる」という批判に業者は真っ向から反論

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「米卸がコメをため込んでいる」という批判は正しいのか

 一方で、大手米卸「木徳神糧」の1~3月の営業利益が前年同期と比べ4.5倍の伸長を見せ、市場の注目を集めている。ネット上では江藤大臣の“スタック”論に釣られてか「国民が大変な時にコメをため込み、私腹を肥やしている」といった投稿まで見られるのだ。

 こういった声に対して、前出の業者が反論する。

「卸売はコメを買い付けて精米、包装して売るというサイクルをいかに回すかが肝で、どこも薄利多売なのです。大量にため込んでいるなんて言われますが、そんなことをすれば空調管理費、倉庫の維持費がかさむだけ。むしろ入荷分はとっととさばきたいんですよ」

「多めに仕入れたものが、高い相場で売れただけ」

 木徳神糧の業績アップについても、

「不足を見込んで多めに仕入れたものが、高い相場で売れたというだけでしょう。それに普段なら、古米を在庫処分するため特価で売り出す必要がありますが、今は入荷するなり売れていく。そういった損切りの必要もありません」(前出の業者)

 好調に沸くどころか、業界内ではコメ不足の危機感が広がっているという。

「相場がいつ下がるともしれませんから、今のうちに売りたいのが本心です。とはいえ、新米が出る前の7月にコメが無くなれば、昨夏の二の舞となる。どの業者も普段の1割増しほどでコメを確保し備えているはずですが、それを“スタック”だの“ため込んでいる”だの言われたらたまりません。そもそも相場を操作できるほどのキャパシティーを持つ業者なんて、まずいないのです」(同)

 後編【コメ高騰でも農家は「負債の返済に回し、廃業」 2026年秋までは高値が続くという見通しも 「米価がどっちに転んでもコメ農家を続けるのは厳しい」】では、値上がりによって潤っているはずの農家ですら「続けるのは厳しい」と語る理由について詳しく報じる。

週刊新潮 2025年5月22日号掲載

特集「コメ価格『高止まり』の謎を解く」より

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