「幹部のパワハラを訴えたら調査もしてくれず反乱分子にされた」日本共産党から除籍された30歳&26歳の元女性党員が実名告発
このところ組織改革を訴え出る古参党員に対して除籍処分を乱発し、一部で訴訟沙汰になるなど内部統制に綻びが出ている日本共産党。昨年福岡では20代の党員2人が、日本民主青年同盟(略称「民青」、日本共産党を相談相手として活動する10代、20代が中心の団体)幹部の「パワハラ言動」や専従職員の「違法残業」を訴え出たことがきっかけで除籍処分となった。党勢衰退が指摘される共産党の地方組織で何が起きているのか。除籍された2人に話を聞いた。(前後編の前編)
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【写真6枚】マスクを取って取材を受ける砂川さんと羽田野さん。統一地方選に共産党候補として出馬した時の砂川さん、日本共産党福岡県委員会前で抗議活動をする2人の写真も
「戦争反対」の党是に共感して入党
「日本共産党と民青の組織拡大のため、休日のほぼすべてを活動に費やしてきたのに、両組織からひどい仕打ちを受けて傷つきました」
こう語るのは、昨年まで民青福岡県委員会で常任委員を務めていた砂川絢音さん(30)だ。砂川さんは20歳だった2015年、当時在住していた埼玉県で共産党に入党。翌年、民青にも加入した。きっかけは安保法制の強行採決だった。
「もともと生まれは長崎県で、平和教育を受けて育ちました。絶対に戦争を起こしたくない思いがあって、法案に断固反対していた共産党の考えに共鳴したのです」(砂川さん)
本格的に党の活動に参加するようになったのは2019年頃、移り住んだ福岡で民青の県委員に就任してからだった。
「埼玉でも共産党の会合にも出てはいたのですが、周囲は年配の方ばかり。関心事も年金や医療問題が中心で溶けこみづらかった。一方、民青では学費の値上げ反対や職場の労働環境の改善など、若い世代に身近な社会変革を求める活動が中心です。同じ志を持った同世代の仲間と触れ合うのが何よりも楽しく、休日は『拡大』と呼ばれる勧誘活動に励みました」(砂川さん)
急に過大な勧誘目標を押し付けられた
活動への前向きな姿勢が周囲から評価され、常任委員という幹部にも抜擢された砂川さん。だが楽しかった民青での活動は、2022年9月頃から一変してしまった。きっかけは、組織のトップを務める県委員長A氏の“変節”だったと語る。
「Aさんが東京で行われた民青中央委員会の研修から帰ってきた途端、急に人が変わったように幹部たちに対して過大な拡大目標を要求し出したのです。それまでは目標が未達でも“仕方ないね”となあなあな感じだったのに、急に“絶対に達成しなければならない”と焦り出して…」(砂川さん)
年間60人だった新規同盟員(一般会員)の獲得目標はいきなり100人に。休日や平日も夜遅くまで、駅頭や電話での勧誘をするよう求められ続けたという。
砂川さんはAさんの厳しい要求に応えられず、活動から徐々に距離を置くようになった。A氏の急な方針転換に反発したのは砂川さんだけではなかった。
「常任委員は委員長のA氏と私、他2人の4人でしたが、Aさん対3人に割れてしまいました。ただAさんは委員長ですし、後ろ盾になる共産党職員もいるので圧倒的に立場が上でした」(砂川さん)
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