「幹部のパワハラを訴えたら調査もしてくれず反乱分子にされた」日本共産党から除籍された30歳&26歳の元女性党員が実名告発
中央に“直訴”するも取り合ってくれず…
それからAさんのパワハラが始まったと砂川さんは訴える。
「私は医療機関に勤務している非専従の役員だったので、党の活動は原則休日だけでした。一方、同じく県常任委員だったBさんは専従職員だったため、負担は相当なものでした。毎日のように遅くまで残業を強いられ、心身を蝕まれた結果、最後は休職してしまったのです。Aさんは、Bさんが疲れ果ててうつ状態になっていたのに、本人のいない会議の場で『指導しなくてはならない』と共産党の職員と共に非難していました。見ていて本当に辛かった」
A氏の矛先は、活動への参加頻度が減っていった砂川さんに対しても向けられたという。
「『昔は結婚や出産のタイミングで民青を卒業していた』と暗に脱退を促すセクハラ発言をされました。私たち3人が仲良くしていることについて、『分派みたいに見えているよ』と言われたこともあります」(砂川さん)
砂川さんはAさんの厳しすぎる要求が耐えられなくなり、民青の本部である、東京の中央委員会や共産党福岡県委員会の書記長に「パワハラに当たるのではないか」と訴え出たが、
「何も手を打ってくれないのです。結局、私たちの話を聞いてくれないまま、Aさん一人を一回聴取しただけで、パワハラ問題はうやむやにされてしまいました。共産党、民青いずれにもパワハラ相談窓口が存在しないことを知ったのも驚きでした」(砂川さん)
そんな仲間の窮地を知って加勢したのが、同じく民青福岡県委で県委員を務めていた羽田野美優さん(26)である。
“決起”を決意した理由
羽田野さんは福岡の大学を卒業後の22年、福祉の充実を実現させるための社会運動に従事したいという思いで共産党と民青に加入。すぐに県委員にはなったものの県郊外に住んでいたため、幹部同士がトラブルになっていることに途中まで気づかなかったという。
「砂川さんがSNSでパワハラ問題を発信しているのを見て事態を知り、詳しく話を聞きました。党や民青のパワハラ対応への酷さにも憤ると同時に、専従のBさんがひどい働かされ方をしている現実にも驚きました」
Bさんは共産党に雇われている専従職員だったが、月90時間以上の長時間労働を強いられていたばかりか残業代も一切支払われず、いくら働いていても月の手取りで15万円ほどだったという。
「さらにもう一人、県常任委員には学生アルバイトの女性もいたのですが、他の専従職員とほぼ同様に勤務していたのにかかわらず、バイトということで月給は定額で約5万円でした。自分たちが労働者を虐げるように働かせておきながら、『労働者階級の党』と掲げていることについて甚だ疑問に思ったのです」(羽田野さん)
そして24年1月、民青福岡では砂川さんと羽田野さんを中心とした8人で、決起するのである。
「年1回開かれる県委員を選ぶ選挙でAさんを落選させるための仲間を増やし、選挙当日もビラを配ってAさんに投票しないよう訴え出ました」(羽田野さん)
それは中央から地方まで、上位下達な組織運営が徹底されている共産党において、前代未聞の“反乱”であった。
後編【「日本共産党は労働者階級の味方ではなく宗教のような組織」専従職員の “違法残業”の実態を暴いて除籍された30歳&26歳元女性党員2人が実名告発】では、2人の若き党員が公然と党に反旗を翻すも潰されていった過程、それでも2人がめげずに労基署に駆け込むなどして戦い抜いた結末について伝えている。なお、後編で詳しく紹介するが日本共産党は取材に「(2人の主張は)事実と異なる」と回答した。







