電撃放出「秋広優人」は阿部監督になぜハマらなかったのか 「調子に乗ってんじゃないぞ」「3軍に落としたい」とも言われた“辛らつ評価”の理由
衝撃の発表だった。5月12日に明らかにされた、巨人・秋広優人、大江竜聖両選手と、ソフトバンク・砂川リチャード選手との2:1の電撃トレード。秋広は今年で高卒5年目の22歳。入団直後から“逸材”との評価を受け、あの松井秀喜選手の背番号「55」を受け継いだ。球団としてはいずれ巨人を背負って立つ主砲に――との願いがあったはずである。
今回のトレードのきっかけは、巨人の4番・岡本和真選手の怪我による長期離脱。巨人はそれを補う大砲候補が必要だった。一方で、放出の背景には、秋広に対する、阿部慎之助監督の厳しい評価があると見られる。阿部監督は従来、秋広に対し、辛らつな評価を口にしてきた。「デイリー新潮」では、開幕前、今年3月11日配信の記事で、その“塩対応”の原因について分析している。以下、それを再録し、今回のトレードの裏側を探ってみよう。
(「デイリー新潮」2025年3月11日記事の再録です)
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【写真】秋広選手と中田翔内野手との丸刈りツーショット。秋広選手が阿部監督にタメ口をきいた決定的瞬間も
秋広は千葉県出身。二松学舎高校からドラフト5位で巨人に入団した。何と言っても最大の魅力は、プロ野球ではあのジャイアント馬場(馬場正平・1955~59年在籍)以来となる身長200センチ超えのサイズ。早くから長距離砲として球団から大きく期待されたことは、1年目のオフシーズンに、かつてあのゴジラ松井が付けていた背番号55を背負わされたことが何よりも証明している。愛称は「メガ・ゴジラ」「シン・ゴジラ」。3年目の2023年には一軍で、主に一塁手として121試合に出場。クリーンナップを打ち、10本塁打、打率.273とブレイクを果たした。昨季はレギュラー定着と、さらなる飛躍を期待され、6年ぶりに春のキャンプで臨時コーチを務めた松井秀喜氏(ヤンキースGM付特別アドバイザー)からも、「3割、40本を打ってもなんら不思議のない選手」と評価されたのだが……。結局、出場は26試合、打率.261で本塁打はゼロ、打点はわずか1と、散々な結果に終わった。
監督にタメ口
より一層の奮起が期待される今季だが、阿部監督からは秋広を評価するコメントが出てこない。本人は「プロに入って開幕一軍というスタートがなかった。(オープン戦で)しっかりアピールして1年通して一軍にいて試合に出続けられるように頑張りたい」と意欲満々だったが、オープン戦7試合(3月9日時点)で、打率は.211、本塁打はゼロ。3月9日の阪神とのオープン戦(甲子園)では2打席無安打1三振の結果に、阿部監督は「秋広がもう、(バットの)芯に当たらなくなってきたから、そろそろ潮時かなと思います」と厳しい評価を下した。
このように、阿部監督の秋広への評価は辛らつだ。オープン戦の前、チーム初の対外試合(2月18日・那覇・対DeNA)で秋広は、2打席連続弾を放つなど強烈にアピール。開幕カードでもあるヤクルトとのオープン戦(1日・東京ドーム)でも9回無死満塁のチャンスに適時二塁打を放ち、ともにサヨナラ勝ちの立役者になった。しかし、(DeNA戦の後)秋広が「1打席、1打席が勝負なので」と囲み取材に答えているところに通りすがった際、阿部監督は「調子に乗ってるんじゃないぞ!」とバッサリと切り捨てた。秋広が慌てて「俺、調子に乗ってませんよね」と記者に問いかける一幕も。「他のコーチ陣たちからも秋広への厳しい声は多い。阿部監督は“あいつ(秋広)の聞きたくない情報ばかり入ってくる“とぼやいていたこともあったそうです」(巨人担当記者)。
阿部は二軍監督時代、試合に負けた後に選手に罰走を命じるほど、体育会系の「鬼軍曹」として知られる。
「一方の秋広は現代っ子らしく、ホワーンとしている。時に監督にタメ口をきいてしまうこともあるほどです。昨年は遅刻を連発し、監督から“3軍に落としたい”と言われたほど。ケミストリーが合わないんです」(同)
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