「何点取られても堂々と帰ってこい」…「西口監督」就任で“今年のライオンズは何かが違う” 選手に求める“強い気持ち”の正体とは
何よりも「勝つ」こと
自身の失敗を自虐的に語る温厚な性格で、選手とも年齢が近い。ということは優しい指導者になるのではないか――周囲の見方は裏切られることになる。前出のファンが言う。
「観戦した時に何度か見かけたのですが、1軍投手コーチの時、救援で登板した投手が“もうムリ”と言わんばかりに、何度も西口コーチを見るんです。でも、西口コーチは右手で払う仕草をする。“お前が投げろ。お前しかいないだろう”という意味なのでしょう。結果、その投手は投げて打たれるのですが、弱気を嫌い、責任を持って投げさせる厳しい面があるんだなと思いました」
前出の元担当記者氏はこう見る。
「最多賞、沢村賞、ゴールデングラブ賞はもちろん、何といっても投手王国・西武でエースを張った人だけに、相当な“強い気持ち”があるはず。開幕前のオープン戦で、昨年は4番も打った佐藤龍世(28)が遠征先で女性の部屋で寝坊して遅刻した際、即刻3軍に落とす厳しいペナルティを与えています。一方で、若い選手には寄り添い、投手出身とあってローテーションにも気を遣っています。大量失点しても、堂々と帰ってこいというアドバイスも、それぐらいの気持ちがないと、厳しいプロではやっていけないぞというメッセージでしょう」
西口監督の「強い気持ち」とは「勝つこと」に繋がっているという。プロ野球の監督なら誰でもそうだが、西口監督も「勝つこと」には並々ならぬこだわりがあるという。
「大記録を逃した3試合ですが、昔よく本人が“記録を気にしていない”と語った理由があるんです。それは、3試合とも勝っていること。記録は逃しても、試合には勝っているんです。監督がこだわっているのはあくまで勝つこと。負けることは何よりも嫌なんですよ」(同)
2015年の引退試合で、西口監督はグローブをマウンドに置いて、球場を後にした。そのグローブを受け取り、背番号「13」を継承したのが高橋光成だ。高橋は昨年から勝利に恵まれず、苦しんだ。4月29日の楽天戦で597日ぶりに勝利を挙げるまで、苦しい登板が続いた。だが、高橋は常に顔を上げ、前を向いて試合に臨んだ。そして、5月6日に惨敗した翌7日のソフトバンク戦で、5回までに89球、6安打4四球1失点で降板したが、味方の援護で2勝目を挙げたのも高橋だった。「西口イズム」は継承されているようだ。
「西口監督に言いたいのは、記録達成で使わなかった運を、監督になってから使ってください。ファンをたくさん裏切ったと言いましたが、これからはいい意味で裏切って欲しいです。混パの主役は、ライオンズが担って欲しい」(前出のファン)
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