“カスハラ問題化”で客は沈黙するしかないのか… サービス低下を実感した3つの出来事
苦情をいってもひと言「はい」
~番に並び、順番がきたので、「向こうの~番に行け、といわれたけど、小さく~番と書いてあるだけ。これじゃ見つからないですよ」と穏やかに苦情をいったが、係員は「はい」しかいわない。たまらず、「ちょっと応対がひどくないですか」というと、表情を変えずにひと言「すみません」。
その後、「石見空港行きに乗り遅れ、15時55分なら無料で変更できるといわれたのですが、遅すぎるので、お金を払ってもいいので、石見の周辺の空港にもっと早く着ける飛行機はないですか」と要件を告げた。
しかし、「“岩国”空港行きでしたら無料でお乗りいただけます」との回答。「岩国じゃなくて石見ですが、それなら無料なのはすでに聞いています。そうではなく、お伝えしたように、お金がかかってもいいので、周辺にどこか、もっと早く着ける空港はないでしょうか」と再度尋ねると、「近いのはどこの空港ですか」と。「どこに空港があるかわからないから尋ねているんです」というと、「“岩国”に近いのは宇部ですね。でも、料金が発生します」。「岩国じゃなくて石見ですが、お金を払ってもいいと最初からお伝えしています」――。
これ以上、やりとりを記すのも野暮だからこの辺までにしておくが、こうした応対を叱責すると、イマドキはカスハラになってしまうのだろうか。乗れなかったのは仕方ない。だが、その後の応対は、以前からこの航空会社を利用している私にとって、サービスの質が著しく低下している、と疑問をいだかざるをえないものだった。カスハラが社会問題化しているのをいいことに、サービスの質の低下を目論んでいるとしたら、ゆゆしきことである。
カードを返し忘れて「おたがいさま」
4月中旬、クレジットカードがないことに気づいた。記憶をさかのぼると前日の晩、タクシー料金を支払ったあとで、受け取らなかった可能性が高い。そこで領収証を見て、横浜市南区のA自動車交通に電話すると、「運転手に確認して電話します」。しばらくして「ありました」という電話があった。しかし、「カードをお返ししないで申しわけありませんでした」という詫びの言葉はない。代わりに「どうしますか」という。
私が「送ってもらえますか?」と頼むと「着払いになります」。さすがに、それは違うと思い、「私にも確認ミスがあったとはいえ、そちらの運転手さんがカードを私に渡し忘れたわけですよね。それで迷惑を被っているのに、私が料金を支払って受け取るのは納得がいきません」と伝えた。しかし、「着払いしかできません」「迷惑っていいますが、おたがいさまじゃないですか?」。
これ以上、対話をしてもさらに苛立つだけだと思い、普通郵便で送ってもらうことにしたが、このとき私が強い口調で苦情をいったら、カスハラになったのだろうか。後日、別のタクシーに乗った際に、この話をして「おたがいさまなのでしょうか?」と尋ねると、「カードを渡すまでが仕事です。渡し忘れたなら100%、タクシーが悪い」と話していた。
最後にやはり4月中旬に経験した、横浜市青葉区のA駅前の郵便局での話を記したい。
用件はゆうちょ銀行の口座を相続する手続きで、HPに予約するように書いてあったので、訪ねる日時を電話で予約した。担当はM氏だという。1週間後、郵便局に行くと「予約がないので受けられない」といわれた。これは私のミスで、予約した日より1週間早く来てしまったのだ。
それから1週間が経ち、予約した日時に郵便局に行った。ところが、予約があるのに窓口に通されず、入り口のドア近くの、ドアが開くたびに書類が飛んでしまう用紙の記入台に座らされた。戸籍謄本だの印鑑証明だの、個人情報中の個人情報たる書類をいくつも広げるのに、風が吹くたびにそれらが吹っ飛ぶような席だった。
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