なぜ玉木雄一郎氏は「政治家YouTuber」で一人勝ちできた? 「アンチがファンに転向するケースも」
圧倒的な人気を得た玉木氏のチャンネル
JX通信社代表取締役の米重克洋氏は、国民民主党の作戦が奏功したのは必然だと語る。
「2023年に総務省が行った調査では、全年代(13~69歳)でネットの視聴時間がテレビのそれを上回りました。40代後半~70代の投票率が高い年齢層でも、ネットで候補者の情報を得ようとする人が増えていると考えられます」
この流れは、衆院選以前から表れ始めていた。
「昨年夏の都知事選では、石丸伸二氏が蓮舫氏を上回る票数を得て“石丸現象”と呼ばれました。われわれの調査では、石丸氏に投票した人の半数近くが、YouTubeを参考にしたと答えています」(同)
衆院選では、これを受けて国民民主党も党や各候補者が多数の動画を投稿する、大々的な戦略をYouTubeで展開。中でも圧倒的な人気を得たのは、党首である玉木氏その人のチャンネルだった。
登録者数は約60万人
「18年7月に開設された『たまきチャンネル』は、代表自らが“103万円の壁見直し”などの政策や時事を解説する内容がメインです。衆院選では選挙関連の動画を多数投稿し、登録者数が大きく伸長しました。その後も不倫問題についてチャンネル内で謝罪するなどして注目を集め、現在の登録者数は60万人弱と、衆院選前の3倍近くになった。政治家個人のチャンネルとしては、衆議院議員の中では最多です」(前出の記者)
もちろん他の議員も衆院選のために動画をアップしている。とはいえ、その中で人気の高市早苗議員や岸田文雄前首相でも、登録者数はそれぞれ約45万人、約15万人と「たまきチャンネル」に遠く及ばない。
玉木氏が“一人勝ち”している理由について、米重氏が分析する。
「玉木氏が他の議員より一足早く“永田町のYouTuber”を自称しチャンネルを立ち上げた時には、それを嘲笑するような見方もありました。しかし早期参入したことで、玉木氏は衆院選の時点ですでに900本近くの動画をチャンネルに蓄えていたのです」
YouTubeは、視聴者の好みや傾向に合わせて動画をお薦めする仕組みになっている。つまり、
「衆院選の情報を得るために玉木氏の動画を再生すると、次から次に玉木氏関連の動画がお薦めされることになります。しかも動画のストックは十分にありますから、お薦めが簡単に尽きることはなく、視聴者を引き留められます。玉木氏はまきを積み続けてきたようなもので、選挙という火がついた瞬間、視聴回数、ひいては登録者数が伸びるのも当然なのです」(同)
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