「家賃500万円を滞納」 逮捕された名投手「米田哲也」の極貧生活 近隣住民にしていた「信じがたい頼み事」とは

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【全3回(前編/中編/後編)の中編】

 歴代2位の350勝、19年連続2ケタ勝利――日本プロ野球の歴史に名を刻む大投手・米田哲也氏(87)がスーパーで万引きに及び、窃盗容疑で逮捕された一件は大きく報じられた。盗んだのは、2本の缶酎ハイ。球界を騒然とさせた名選手の現在を取材すると、見えてきたのは想像を絶する困窮ぶりだった。

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「家賃はざっと500万円くらい滞納している」

 兵庫県尼崎市の閑静な住宅街で、昭和のまま時が止まったかのような存在感を放つ、2階建ての木造アパート。築およそ50年のこの集合住宅に、日本プロ野球界で数々の偉業を達成した伝説的な名投手が暮らしているとは、誰も思うまい。

 入居は2016年。大家が当時を振り返る。

「間取りは2DKで、家賃は5万円。米田さんは奥さんと住んでいますよ。入居するとき、契約書の職業欄に“野球コメンテーター”とあって、“あの米田哲也やんか!”と。入居してくれるのであれば、そうしてほしいと思いました。米田さんといえば大エース。私は阪急のホームグラウンドだった西宮球場まで、よう観に行っていましたから」

 だが、“借主”としての米田氏は往年の大投手からほど遠かった。

「入居当初は、米田さんを仲介した不動産屋が毎月の家賃を払っていたんですよ。でも、それが1年ほどで止まってしまった。17年3月以降、もうずっと払ってもらっていません。ざっと、500万円くらい滞納しているんです」(同)

 米田氏宅へ催促に赴くと、

「“もうちょっとしたらカネ入んねん”って、毎回同じこと言うんですよ。保証人が奥さんだから、どうしようもない。奥さんに聞いても、すぐ“主人を呼んできます”って引っ込んじゃう。3月にも行ったんですけどね。まあ、裁判となると弁護士を雇わないといけないし、私は元阪急ファンやからなあ」(同)

 むげに追い出せない苦衷の胸の内を漏らすのだ。

「昔、親戚にだまされた」

 実は、現在のアパートに越してくる前も、事情は同じだった。当時の米田氏を知る人物によれば、

「そこも間取りは2DKで、家賃は5万円ほどのアパート。普通、入居の際には保証会社と契約しなければならないのですが、米田さんは入らなかったそうです。当初こそ、仲介した不動産屋が敷金と礼金、そしてふた月分の家賃を払ったようですが、それっきり。ついぞ米田さんは2年近く、家賃を払わずじまいだったのです」

 判明しただけで、約10年の家賃滞納である。ここでも、十八番の決めぜりふが披露されていた。

「大家さんが催促に行くと、“カネが入るから”の繰り返し。講演会や野球関連のイベントに呼ばれているから、それでお金が入ると説明していたそう。お金がない理由としては“昔、親戚にだまされたんだ”と話していたみたい。とはいえ、大家さんにも我慢の限界がある。埒(らち)が明かないので、司法の力を借り、強制執行したのです。米田さんは出頭することもなく、そのまま出て行きました」(同)

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