強盗殺人で「無期懲役」、強盗で「懲役20年」、逮捕歴7回の“荒くれ者”も…ダークサイドに堕ちた元プロ野球選手を振り返る

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 NPB歴代2位の通算350勝を記録した米田哲也氏(阪急→阪神→近鉄)が3月25日、窃盗の疑いで尼崎北署に現行犯逮捕されたニュースは、ファンに大きな衝撃を与えるとともに、改めて現役引退後のプロ野球選手の人生が必ずしも恵まれたものではないことを痛感させられた。そして、過去にも“堕ちた”元プロ野球選手が多く存在した。【久保田龍雄/ライター】

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女性を川に投げ入れて水死させ…

 元プロ野球選手の数ある犯罪歴の中でも、最も凶悪と言える事件を起こしたのは、元ロッテの投手・小川博である。

 前橋工時代に春夏計3度の甲子園に出場し、甘いマスクから“群馬の玉三郎”と呼ばれた右腕は、1985年にドラフト2位でロッテ入り。88年に10勝を挙げ、最多奪三振(204)のタイトルも獲得した。近鉄との“伝説の10・19”のダブルヘッダー第1試合に先発したことでも知られている。

 だが、翌89年に右肩を痛めてからは活躍できなくなり、1軍出場なしで終わった92年限りで現役引退。その後、ロッテのコーチや球団職員を務めたが、大金を稼いでいた選手時代の感覚そのままの浪費癖や遊興費に加え、前妻への離婚慰謝料の支払いなどで借金がかさみ、2002年に球団職員を解雇されたときには、1700万円を超える負債を抱えていたという。

 03年1月に埼玉県内の産廃処理会社に再就職したが、同年4月に自己破産。その後も闇金融数社から借金を繰り返していた。

 そして、04年11月18日18時過ぎ、40分後に返済期限が迫っていた1社分の利息など4万3000円を工面するため、前記の産廃処理会社の会長宅を訪問したが、応対した67歳の家政婦に借金を断られると逆上。女性を突き飛ばして失神させたあと、室内を物色して現金175万円を奪ったばかりでなく、発覚を恐れ、女性を約3キロ離れた旧荒川に車で運ぶと、川に投げ入れて水死させた。

 だが、行き当たりばったりの行動から足がつき、12月21日に強盗殺人容疑で上尾署に逮捕された。06年、「犯行経緯に酌量の余地はなく、犯行は冷酷非道」として無期懲役刑が確定した。

 かつてドラフト1位でプロ入りしたある選手は現役引退後、飲食店の修業を始める前に「選手時代の派手な金銭感覚を矯正する」目的から、1年間サラリーマンを経験し、満員電車での通勤や1千円でお釣りがくる日替わりランチと缶コーヒーの生活を続けたという。

 これまでの華美な生活から“質素モード”に切り替えができるかどうかも、第2の人生の成否に大きくかかわってくるように思える。

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