“不適切な芸風”も「セクハラ疑惑」で謝罪…活動休止の「石橋貴明」は“悪ノリ”に厳しい時代に復活できるのか

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共演者へのセクハラ

 とんねるずは1983年12月にスタートした伝説の深夜番組「オールナイトフジ」で初めてフジでのレギュラーをつかんだ。その後、「夕やけニャンニャン」でブレークを果たし、特番を経て88年10月からレギュラー放送された冠バラエティー「とんねるずのみなさんのおかげです」が大ヒット。90年代にかけて、その人気を不動のものにした。

「86年秋、石橋が当時フジの編成局長であった日枝久氏(現フジ・メディア・ホールディングス取締役相談役)に、『僕らにゴールデンタイムの2時間番組を下さい、視聴率30%とってみせます』と直談判したのは有名な話。練りに練ったコントが中心で、豪華ゲストも続々と登場。有言実行とはならなかったが、最高平均世帯視聴率は29.5%を記録しました。とんねるずの人気に各局があやかり、他局でも続々とレギュラーを獲得。『-おかげです』は97年3月に終了するも、同年6月に『-みなさんのおかげでした』にタイトルをリニューアルして続きました」(前出・フジ社員)

 石橋の相方である木梨憲武(63)は、ソロ活動では自分のやりたい仕事をマイペースにこなしてきたが、石橋は違った。コンビでレギュラー番組をこなしつつ、ソロでは96年10月にスタートしたTBS系の音楽バラエティー番組「うたばん」で、あの中居氏とコンビを組んでMCを努めている。

「音楽番組にもかかわらず、歌唱よりもゲストとのトーク・バラエティー企画に重点を置いた構成が画期的で一躍人気番組になりました。しかし、02年3月に出演した女性グループの未成年メンバーに対し、石橋さんが『(男性器の先端を指す言葉)』と、あだ名をつけたことで騒動に。その案件は放送倫理・番組向上機構(BPO)の審議事項となり、番組が公式サイトで謝罪する事態に発展しました。音楽番組にもかかわらず、日本PTA全国協議会の『親が子どもに見せたくない番組』にランクイン。放送枠移動を重ねるうちに視聴率を落とし10年3月に終了してしまいました」(TBS関係者)

 その後、10年4月にスタートした同じTBSの音楽バラエティー番組「ザ・ミュージックアワー」のMCを努めたもののわずか半年で終了。その後12年から14年までTBSでMCを努めた3番組はいずれも半年で終了してしまった。そして、このころから石橋の人気は下降していく。

「そのころ、すでに『みなおか』の視聴率も下り坂に差しかかっていました。“オラオラ系”のノリで、共演者にセクハラ&パワハラをやりたい放題、という環境で培われた石橋さんのお笑いのスタイルが、視聴者には受け入れられなくなっていたのです。木梨さんも、いきなり共演者にドロップキックをお見舞いするなど、予測不能で絡みづらい芸風です。フジがイケイケドンドンのころは、こうした振る舞いもOKでした。しかし、今は違います。石橋さんともども、そうした振る舞いが通ってしまったのは、港氏の子飼いということもあり、2人に物申せるスタッフが誰もいなかったのです」(前出・フジテレビ社員)

「みなおか」終了後、石橋は活躍の場を新しいメディアに求める。豊富な資金力で民放では不可能な斬新な企画やキャスティングで話題になっていたインターネットテレビ局・ABEMAである。

「石橋さんが“王様”の不定期特番『石橋貴明プレミアム』が18年8月にスタートしました。バブル期のテレビ各局のような大がかりなセットを組んで、水泳大会やゲーム大会など、予算をつぎ込んだ企画が実現。当時、米・ロサンゼルスに住んでいたタレントのローラさんに会いに現地に行く企画も実現しました。しかし、予算をかけまくっている割に試聴回数などは回を重ねるごとに落ち込み、22年11月の18回目の放送以後、放送されなくなってしまいました」(芸能担当記者)

 どうも自身の絶頂時代の“ノリ”を忘れることができないのか、豪華なセットにロケにも金をかければ当たる、という発想から抜け出せなかった。一方、フジではソロでの冠番組「タイムトンネル」を始めるが、放送は毎週月曜の午後11時。「大人のノスタルジーを刺激するトーク番組」を番組コンセプトにアイドルやテレビ、歌謡曲、漫画、菓子、野球など、さまざまなテーマに関して、「ちょっと前の話」としてゲストとともに盛り上げるというトーク・バラエティー番組だった。

「当初はタレントのミッツ・マングローブさんがパートナーを務めていました。しかし、石橋さんより年齢がひと回りほど下ということもあり、相づちを打っているだけなのが目立つように。そうしているうちに、19年3月で降板となりました。いろいろ企画を出そうとしたが、まったく盛り上がらず。そのころ、ウチは局全体が低視聴率気味。しかも放送枠は深夜帯でもありキャスティングに苦戦。20年3月にあっけなく打ち切られました」(フジのバラエティー班スタッフ) 

 それでも、フジは長年の功労者である石橋を見捨てなかった。「タイムトンネル」終了直後の20年4月から「薪を焚べる」がスタート。文化人、ミュージシャン、タレント、アスリートなど、業界のジャンルを問わず、石橋が毎回「ちょっと話してみたいゲスト」を迎え、焚き火を目の前にじっくりとトークを展開した。しかし、放送は関東ローカルで、毎週火曜深夜0時25分から。

「深夜にもかかわらず、石橋さんの人脈でナインティナインの岡村隆史さん、大リーガーの前田健太選手、プロ野球界のレジェンド・清原和博氏、現在は首相の石破茂氏、すでに世界王者だったボクシングの井上尚弥選手らがゲスト出演。話題になった回もありましたが、深夜帯&ローカルにしては予算がかかり過ぎ、さらにキャスティングで苦戦しわずか1年で終了となりました」(同)

 これにより、石橋にとって「オールナイトフジ」から番組を換えて約38年続いたフジのレギュラー番組が終了することになった。その後、石橋はPrime Video、ABEMA、YouTubeなど配信番組に活躍の場を求め、コツコツ稼いでいたが、テレビでの冠番組を失ってしまった。

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