「詐病」「舌を引っこ抜かれたいのか」1人で1.6万件を投稿…堀ちえみが恐怖の「誹謗中傷」被害を語る
歌手でタレントの堀ちえみ(58)の公式ブログに、およそ2年間にわたって誹謗中傷を繰り返した事件の第一回公判が、4月30日に東京地裁で開かれた。被告は、起訴事実は認めたものの「業務を妨害する意図はなかった」とした。
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2月5日に偽計業務妨害で逮捕されたのは、東京都多摩市の無職の女(47)。スマートフォンを使って送信された誹謗中傷のメッセージは、じつに1万6004件にも及ぶ。
「私の病気が『ウソ八百』だとか『仮病』だとか、とにかく怖いくらいに送られて来ました。誹謗中傷は私だけではなく、家族や友人に対する酷いものも多く、仕事や周囲の人に迷惑がかかる可能性も考えて悩んだのです。かねてより警察(警視庁人身安全対策課)にも相談してきました」
と語るのは、堀本人だ。
30日の公判に現れた被告は、肩まで伸びた髪の毛とサングラスで顔を隠して証言台に立った。終始うつむき加減で、裁判官から本籍地を聞かれるも、小声で「分かりません」。無職で生活保護を受けてきたことを明かした。
聞き取れないほどの声量で証言を続ける被告。弁護人から「人前では声が出なくなる」との説明があり、被告に代わって弁護人が回答する進行となった。
誹謗中傷の書き込みをしたという客観的事実については概ね認めた。しかし業務妨害については「そのような意図はありませんでした」と否認している。
堀に対する誹謗中傷は、夫や愛犬など家族への悪意ある内容のほか、「病気は嘘だろう」「顔が歪んでいる」「罰当たり」そして舌がんを患ったことを揶揄するような「そんなに舌を引っこ抜かれたいのか」といった心無いものだった。2023年より以前から中傷する書き込みを行ってきたというから、堀が病と向き合う日々を公にしていた時期と重なる。彼女の闘病発信が引き金になったとでもいうのだろうか。
水や唾さえ飲み込めない状態に…舌がんとの闘病
あらためて「舌がん」との闘いについて本人に語ってもらおう。
堀は1982年に芸能界デビューし、小泉今日子や中森明菜、早見優、石川秀美らと共に“花の82年組アイドル”として注目された。「スチュワーデス物語」(TBS)の主演などでお茶の間に親しまれた彼女の「舌がん」が判明したのは、2019年のことだった。その時点でステージ4、リンパ節にも転移していた。
「異変に気付いたのは前の年(2018年)の5月だったと思います。舌に何か出来て、最初は口内炎だと思っていたんです。当時、リウマチの治療薬を服用していたのですが、その副作用で口内炎になりやすかったというのもありました。ところがある日、ボイストレーニング中に、舌の左側に白い小さな点のようなものを見つけたんです。時々、痛みが走って……」
そこで内科や婦人科、リウマチ科、整形外科、歯科にかかるも、皆「薬の副作用」「ビタミン不足」と断じるだけだった。
「でも、痛みがひどくなる一方で、水や唾さえ飲み込めない状態になってしまったんです。夜中にパソコンを開いて『口内炎 治らない 舌』と検索したら『舌がん』と出たんですね。もうその瞬間は震えが止まりませんでした。それで、主人があちこちの病院に電話してくれて、そこで巡り合った大学病院の口腔外科の先生から診断されました」
異変に気づいてから8ヶ月も経っていた。セカンドオピニオンの重要性が巷では言われるが「やはり病気にならないと分からないような気がします」という言葉は重い。
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