月9が月9をイジる…Netflix礼賛&歴代タイトルのパロディー “自虐脚本”に怪作の予感

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独立した小泉今日子

「ドラマ『北の国から』の倉本聰氏が原作・脚本、俳優の本木雅弘が主演し若松節朗氏が監督を務めた24年公開の映画『海の沈黙』が、Netflixで4月15日から配信を開始しました。小泉はこの映画に重要な役どころで出演しています。『なんでNetflixは私を誘わないのかね?』という千明のせりふはフジへのあてこすりにも見えて痛快です。

『続・続』では実際にNetflixの担当者から千明に電話がかかってくるシーンも登場しました。内容は千明が昔作ったドラマの素材を使用したいという申し出。現在放送されている作品よりも、千明が手掛けた過去作の方が評価されているわけです。脚本の岡田氏は、現在のテレビ業界をとりまく厳しい環境と、配信に王座を奪われてしまったテレビ局のふがいなさを同時に嘆いているのかもしれません」(前出の放送ライター)

 さて、フジ月9へのディスリにはまだ“続編”がある。第1話と第2話で登場したJMTテレビ「月9企画募集」のチラシには、月9の歴代代表作品として10作のドラマタイトルが並んでいた。1995年には「マウンテンボーイズ」と書かれているが、これは97年7月期に放送された反町隆史(51)と竹野内豊(54)主演の月9「ビーチボーイズ」のパロディーであるのは明らか。同ドラマの脚本は「続・続」と同じ岡田氏なのだ。

 同様に2002年の「ディナーの王様」は同年7月期の「ランチの女王」(竹内結子主演、以下同)、12年の「全力ボーイ!!」は2011年7月期の「全開ガール」(新垣結衣)、21年の「真冬の人魚姫」は23年7月期の「真夏のシンデレラ」(森七菜と間宮祥太朗)が元ネタのようだ。これらは歴代月9が採用した安易なタイトルへの皮肉にも映る。

 小泉とテレビ局の複雑な関係についてフジテレビ関係者がこう話す。

「小泉にとって『続・続』は11年ぶりの月9出演です。2015年に自分の制作会社を立ち上げ、大手芸能プロダクションから独立しました。しかし、その後は政治への発言や率直な物言いが、体質の古い業界内で不興を買い芸能界の中心から離されてしまったのです。

 小泉自身、2023年末のラジオ番組で『プロダクションの中にいるとやりたくないこともやらないといけない』『(芸能界が)おかしな構造になっていった』などと発言しています。これはジャニーズ騒動で明らかになったように、力のある大手芸能プロがドラマのキャスティングや台本にまで口を出してくる現状への“告発”に等しかった。

 はっきりした意見や政治への発言などテレビ局としては扱いにくい面もあったでしょうが、脚本の岡田氏はそれも含めて、テレビ局内にはびこる忖度体質を問いたいのでないでしょうか」

 小泉演じる千明や飯島直子演じる典子の喫煙シーンも、これまでの民放ドラマだったらタブー視されカットされていたはず。2024年1月放送のTBS系「不適切にもほどがある」で主人公役の阿部サダヲ(54)による喫煙シーンがやっと“解禁”されたが、これもテレビ局の現場にはびこる過剰な自主規制への問いだった。

 千明の友人で出版社勤務の荒木啓子(森口博子)と音楽プロデューサー・水野祥子(渡辺真起子)との会食シーンでは、アニメ偏重のテレビ番組や音楽について嘆く一方で、新たな恋への期待感もはつらつと描かれた。

「Netflixにスカウトされなかった千明は社内で募集されている新月9の企画に募集することを表明しました。さっそくチームで企画会議に入りましたが、月9ドラマ内で月9ドラマを検討するというメタな脚本が秀逸です。もしかしたら、学芸会とも揶揄されるこれまでのテレビドラマの常識をひっくり返す“怪作”が提案されるかもしれません」(前出のフジテレビ関係者)

“不適切”な月9を期待したいものだ。

デイリー新潮編集部

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