「司親分は引退されてゆっくりされることを」 山口組最新怪文書の発信源の狙いはどこにあるのか

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すでに犯人探しが進んでいる

 10年にわたった分裂騒動に新たな動きが出た瞬間だった。4月7日、6代目山口組の執行部3名が兵庫県警本部を訪れ、「神戸山口組との抗争を終結する」旨の宣誓内容を伝えた。8日には6代目山口組の緊急集会が開かれ、「抗争終結」に関する説明が行われたという。どんな形であろうと、平和が訪れるのならば誰にとっても悪い話ではない。が、ここにきてその和平ムードに水を差すような出来事が。一連の動きに関する怪文書が一気に広まっているのだ。6代目山口組の司忍組長、高山清司若頭の神経を逆撫でするような内容のため、すでに犯人探しが進んでいるという。

 まずは抗争終結に関する経緯を見てみよう。

 4月7日午後1時、兵庫県警本部を訪れたのは6代目山口組の森尾卯太男本部長(大同会会長)、安東美樹若頭補佐(2代目竹中組組長)、そして津田力若頭補佐(4代目倉本組組長)だった。そこで伝えられた宣誓文はざっと以下の通り。

抗争終結宣言のなかで流布した怪文書

《この度は全国の任侠団体の申し出により山口組は処分者の井上、入江、池田、岡本、宮下との抗争を終結する事にしました。尚、山健組処分者の織田とも今後一切揉める事はしません。一般の市民にはご迷惑お掛けしました。高山清司 執行部一同》

 翌8日には、11代目平井一家本部(愛知県豊橋市)に直参舎弟全員が集められた。兼一会(6代目山口組の2次団体)の植野雄仁会長、2代目國領屋一家(同)の戸塚幸裕総長は勾留中で欠席、2代目旭導会(同)の川合彰典会長は脳梗塞で療養中のため代理人が出席。それ以外の直参が顔を集める中、高山若頭から「神戸、池田、絆には構うな。とにかく6代目山口組は前進あるのみ」などといった言葉があったとされる。

 そんな中、広く流布することになったのが怪文書である。内容を紹介しておこう。いささか読みづらいのだが、とりあえず原文のままご紹介したうえで要点をまとめることとする。

「最高顧問に退きますので」

《高山若頭と司親分との間に、人事に於ける相違があった事から、今回色々予定されて居た人事は一旦見送られたらしいです。高山若頭は、今回の抗争終結言を以って、分裂抗争を解決と考え、司親分に総裁に就任して貰うか、引退されてゆっくりされる事を提案されました》

 さらにこう続く。

《司親分は、分裂抗争終結する迄、自身を含め誰一人直参の引退を認めないとして居ました。高山若頭にしたら、分裂抗争終結宜言したのだから、これで良いと判断したものの司親分にしたら完全解決ではないとの判断から現役続行を口にしたので、それならば(組織の若返りも必要な事から)、自身は弘道会総裁の儘、最高顧問に退きますので、自身の後任として竹内会長の若頭就任を打診したところ、司親分より、何代も弘道会出身の者が当代に就任し続けたら、それはもはや弘道会山口組であり、そうした事は分裂の芽を生むだけだから、山口組あっての弘道会とするべく、安東組長に若頭を任せたいとの意向を示したとされ、高山若頭との思惑の相違がある事から、一旦人事の話は保留されたのではないのかと言われて居ます》

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