「ゲーム機やテレビまで裏金で…」 川崎重工の裏金17億円問題 潜水艦乗組員を40年間「接待漬け」にしていた実態

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テレビにゲーム機、ビール券などの金券まで

 川重製の潜水艦の場合、検査期間中、乗組員は神戸工場隣接の施設「海友(かいゆう)館」に滞在。“接待”はこの施設内外で行われていたのだ。

「乗組員の要望は、業務関連から私的なものまであらゆる物品に及んでいました。工具類や防寒具から、冷蔵庫やテレビ、ゲーム機や艦名が入った数十人分のおそろいのTシャツまで。ビール券や商品券といった金券に加え、ツケ払いもあった。一方の川重側にも、裏金を私的な飲食代やゴルフ用品、ノートパソコン購入などに流用した社員がいました」

 元幹部がこの実態を知ったのは問題発覚後だったが、

「昔から、潜水艦関係者には“川重はアットホームで気が利く”“三菱重工は官僚的で融通が利かない”と、川重に好意的な声がありました。その裏には過剰な接待やいびつな癒着構造があったのです。川重の現場が仕事を円滑に進めるためのサービスだったのが次第に双方とも感覚がまひしていった結果だと思います」

 業界に残る昭和の悪習が国税局の調査でたまたまバレた、という話なのか。

「実は、今年1月から3月にかけて、川重神戸工場の修繕部とは別の部署に防衛装備品などの開発や管理を担当する防衛装備庁が調査に入ったとの情報を耳にしました。ほかにも不正があるかもしれません」

 防衛費増額の流れとともに裏金の額も増える。そんな事態は勘弁願いたい。

週刊新潮 2025年4月24日号掲載

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