「家電、食料品に衣類まで…」 アメリカで起きている「買いだめラッシュ」の実態 NY在住ジャーナリストが語る
【全2回(前編/後編)の後編】
世界中に衝撃を与えている「トランプ関税」。ニューヨーク在住のジャーナリスト・津山恵子氏が語る、相互関税発表後にアメリカで起きている「買いだめラッシュ」とは――。
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トランプ大統領による相互関税の発表以来、アメリカ国内は関税の話題一色です。生活レベルでも影響が出始めていて、市民たちは買いだめに走っています。なにしろ、輸入品は20~30%は値上がりするという話ですから、ありとあらゆる商品が買いだめの対象になっているのです。
アメリカで日々、大量に消費されているコーヒーなんて100%南米やアフリカなどからの輸入ですから、絶対に関税分値上がりしますよね。ほかにもアジアの香辛料、欧州のパスタ、ワイン、チーズなどの食料品はもちろん、日本製のものでも、醤油、みそ、酒、海苔などが買いだめされていると聞いています。
洋服に家電、日用品まで……
衣類だってとっくに米国内ではほとんど作っていなくて、中国やベトナム、東欧からの輸入品ですから、値上がるのは確実です。子供服から大人の服まで全部値上がりするだろうと考えて、オンライン・ショップでも洋服を買い占める人が出始めています。
それからテレビ、冷蔵庫、洗濯機といった家電製品ですよね。2~3割も値上がりしたらたまったものではないので、今のうちに買い替えようという動きがあります。ロウソク、プラスチックのカップ、さらには流しの栓に至る日用品も同様です。
また日本の100円ショップみたいなお店で99セントショップというのがあるのですが、ここの商品はほぼ100%中国製ですから、今後は99セント(約149円)では売れなくなるだろうともいわれています。
もともと、米国ではエネルギー価格の高騰やサプライチェーンの問題からインフレが深刻になっていました。そんな中で相互関税が課せられてさらに物価が上がってしまうわけで、市民にとってはまさに死活問題だといえます。
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