相手はみんな詐欺師と思ってやりとりすべき…今度は“グミ騒動”で物議 なぜ「メルカリ」ばかりトラブルが続出するのか

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まだまだある意外な「騙しテクニック」

 もっとも、メルカリも悪質ユーザーをそのまま野放しにしていたわけではない。

 事態を重く見た運営は、出品者への注意を呼び掛けるとともに、返品商品のすり替えが起きた場合に、メルカリ側が実際に商品を調べる「商品回収センター」を設置するなどの対策を取った。そうした効果もあってか、すり替えトラブルは下火になっているようだ。

「古くはPS5本体と見せかけて箱だけを出品する、みたいな古典的な騙しテクもありましたね。色んな手法が出ては、対策が施されることで鳴りを潜め、また新しいスキームが生み出される、という“いたちごっこ”が続いています」(奥窪氏)

 やはり、結局は利用者が用心するしかないのだろうか。

「偽ブランド品など、明らかな犯罪行為にはメルカリの対応も早いのですが、基本的に取り引きに関する民事的なトラブルは個人間で解決してください、というのがメルカリのスタンスですので、特に入金完了となりやり取りが完結する“評価”の操作は慎重になった方がいいですね」(同)

 iPhoneやゲーム機など、人気が集中するものは少し安めの値段設定になっている商品が争奪戦となることもしばしば。そんな時に注意したいのが「出品者からの先評価の依頼」だ。

「“円滑なやり取りのために、先評価いただける方のみに販売します”という出品者はまず間違いなく詐欺です。“メルカリだと10%の手数料を取られるので、paypayで直接払ってくれたら値引きします”と持ち掛けてくるのも典型的な詐欺なので注意が必要です。他によくあるのが、値引き交渉の相手に商品を購入させるために“A様専用”のように商品ページを編集する慣習を利用した騙しテクです。例えばゲーム機の取り引きで、“専用”にするタイミングでコントローラーなど付属品の画像や記載をこっそり削除する。購入者は本体しか入手できないわけですが、付属品のためだけに申告するのが煩雑で泣き寝入りしてしまうケースが多い。そうして手元に残した付属品を別の人に売りつけるのです」(同)

借金の取り立てをメルカリに肩代わりさせるスキーム

 番外編だが、過去にはこんな手口も。

「メルカリを個人間融資のスキームに使っていた、という人の話を聞いたことがあります。まず融資を受けたい側に偽ブランド品を出品させます。仮に10万円の融資だとして、融資側はその商品を購入したあと、返済期日が近付いたところでメルカリに“偽ブランド品を掴まされた”と申告し、返金保証を受けます。結果的に借金の取り立てをメルカリに肩代わりさせることができるのです。ちなみに、融資を受けた側はメルカリに返金できないと詐欺として警察に届けを出されてしまうことに」(奥窪氏)

 まるで『闇金ウシジマくん』に出てきそうな話だが、よくもまぁ、こんなことを思いつく人がいるものである。

「SNSでは悪質な出品者や、悪徳転売ヤーのニュースが話題になるたび、“もっとちゃんと規制しろ”とか“メルカリなんて無くなってしまえ”という人が現れますが、規制が強化されれば当然、使い勝手が悪くなってしまいますからね。色々な問題はあるものの、やはりメルカリはとても便利なサービスですから、なるべく自由度の高い運用が保たれる方が、利用者にとってもメリットが大きい。転売問題についても、メルカリの素人転売ヤーがいなくなったとして、得をするのは独自の販路を持つプロ転売ヤーということになり、ますます転売価格が高騰することになりかねません」(同)

 運営側だけに責任を押し付けてもいいことはない、ということか。

「皆さんメルカリに対する期待値が高すぎるのだと思います。私自身は、フリマアプリ利用時には『取引相手は詐欺師かもしれない』くらいの警戒心を持って利用しています(笑)」

 匿名の他人同士のやり取りである。本来はそれぐらいの心構えで付き合うべきものなのかもしれない。

デイリー新潮編集部

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