「彼らの仕事は日本政府を親米政府にし続けること」 両政府が認めてこなかった「CIA東京支局」の存在が明らかに 気になるオフィスの場所は

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 その「組織」が入るオフィスには看板もないし、職員が本当の名刺を持っているわけでもない。だが、長らく日本の政官財界に食い込み、時には、巨額の資金提供までしていたという。

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「彼らの仕事は日本政府を親米政府にし続けること」

 3月に公開されたケネディ元大統領暗殺事件を巡る約8万ページの機密文書に、米中央情報局(CIA)の日本での活動が記されていることが、4月上旬に報じられた。そこに登場するのが、CIA東京支局である。日米両政府とも存在を認めてこなかった部局だ。

「今回公開されたいわゆる“ケネディ文書”については、1992年、ブッシュ元大統領が25年以内の公開を義務付ける法案に署名しましたが、94年にニューヨーク・タイムズが一部をスクープ。CIAが自民党に資金提供していたことを報じたのです。しかし、自民党は否定し、96年に改めて日米両政府とも公表することに反対。結果、CIA東京支局の部分は墨塗りにされてきました」(外信部記者)

 この墨塗りが消されたわけだが、国際ジャーナリストの山田敏弘氏によると、

「日本におけるアメリカの諜報組織はGHQ内にあった参謀第2部が母体で、組織再編によってCIAの東京支局になったといわれています。彼らの仕事は日本政府を親米政府にし続けること。社会主義勢力に対抗するための55年の保守合同(自由民主党の創設)だけでなく原子力政策などにも関与し、読売新聞社社主の正力松太郎氏と深い関係を築いたことが分かっています。組織の規模や職員は非公表ですが、半ば公然と知られているケースもある。政財界や文化人と広い交友関係を持っていたポール・ブルーム氏は初代東京支局長といわれています」

スタッフは“CIA職員”を名乗っていない

 気になるのは、オフィスの場所と陣容だ。共同通信の元ワシントン支局長で国際ジャーナリストの春名幹男氏が言う。

「当然のことですが、CIA東京支局は東京のアメリカ大使館内にあります。ただし、スタッフは“CIA職員”を名乗っておらず主に3種類の身分を使っている。一つは、国務省(日本の外務省にあたる)の外交官で、これはせいぜい3~4人です。最も多いのは軍人で、60~70人。横田基地から出入国するので、身分がバレにくいのです。そして三つ目が、米系企業などの民間人を装った人たち。十数人いますが、以前は日本の商社マンから国交のないキューバやイランの国内情報を得ていました」

 CIAにとって日本は国際的な諜報戦の最前線だったわけだ。

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