酷評ばかり「大阪・関西万博」で唯一のおすすめスポットとは? 55年前の「大阪万博」も初日に行った入場客が振り返る

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お勧めは大屋根リング

「傘がいらないくらいの小雨になったので、エスカレーターでリングの上に上がってみました。これが意外と良かった。パビリオンに並んで入らなくてもドイツ館やブラジル館の歌やダンスの催し物がはっきりと見えたし、会場内のパビリオンや“静けさの森”などもほぼ見渡すことができました。海に目を向ければ、大阪港を行き交う船や、ちょっと日が差したときには光り輝く明石海峡大橋も臨めました。1周は約2キロなので、初来場の方はリングの上を一周することをお勧めします」(A氏)

 外観で印象に残ったのは韓国館だそうだ。

「幅27メートル、高さ10メートルという超大型ディスプレイの映像はド迫力でした。残念ながら、この分野では日本は負けていると認めざるを得ませんでしたけど」(A氏)

 大屋根リングから降りると、地上では再び不満が募り始める。

「人気パビリオンの多くは事前予約制で、空いてそうに見えても入れませんでした。私だけでなく多くの人が、入り口で係員に尋ねては断られ、不満そうな顔をしていました。でも、人気が薄そうなパビリオンは違いました。美しい女性の係員が雨の中ずぶ濡れになりながら手招きをしてくれるので行ってみると、カザフスタン館でした。一生懸命に日本語で“人工心臓手術”の説明をしてくれました。他にはアゼルバイジャンなど入場フリーのパビリオンを3、4カ国ほど回りました」(A氏)

 そうこうするうち、お腹も減ってきた。

「腹ごしらえと話のタネに、1杯3850円の『究極の駅そば』でも食べてみようとグルメゾーンに行ったのですが、ここも事前予約じゃないと入れない。スシローなど他の店もすべて断られました。フリーで飯が食べられない万博なんて前代未聞ですよ」(A氏)

 雨も強まり、20時には退場することに。

前回の学びがない

「傘がないので体も冷えてきて、正味2時間少しの滞在でした。退場はスムーズでしたが、駅まで直線300メートルほどのところを再び大回りさせられて15分くらい歩かされました。『これじゃあ年寄りは呼べないな』といった声があちこちから聞こえました」(A氏)

 どうしてこんなことになってしまったのか。

「やはり、運営のプロがいないということに尽きると思います。万博協会は東京五輪の汚職問題に関与した広告代理店を1年間の指名停止にし、その結果、電通が降りてしまいました。電通は前回の大阪万博では招致段階から関わって成功させた国際博のパイオニアです。毀誉褒貶はあるものの、やはり大型イベントに欠かせない経験と実績があるのだと思います」(A氏)

 55年前の大阪万博では、一日の入場者数は最低の日でも16万3857人(2日目の3月16日)。今回、初日の入場者数は11万9000人(関係者を含め14万1000人)だった。

「55年前の学びが伝えられていなかったのでしょうね。羽田空港の利用者は一日に25万人といいますが、ピーク時でさえ入退場に15分ほどしかかかりません。たとえ電通が関わっていなくても、そういったところから教えを請うことはできなかったのでしょうか。初日に関して運営側は『あいにくの雨』などと言っていますが、おかげで入場者が減って助かったと思いますよ。好天で人が溢れかえったらどうなっていたことか」(A氏)

 今回、万博協会は想定来場者数を2820万人としている。一日当たり15万人超の計算になる。55年前の大阪万博に10回も通ったというA氏、今回はどうするのだろう。

「また行きますよ。予習はできましたからね。次回はパビリオンやレストランも予約をして、ゴールデンウィーク明けの平日に西ゲートから入退場しようと思います。あの調子では東ゲートは長時間待ちが避けられそうもありませんし、入場前からフラストレーションが溜まりますから」(A氏)

 西ゲートはバスなどによるアクセスとなる。

「渋滞や混雑のない船の便もあるそうです。上田正樹は『♪大阪の海は悲しい色やね~』と歌っていましたが、船上からカラフルな会場を見てみたいですね」(A氏)

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