トランプ大統領は「石破氏をはなから相手にしていない」 相互関税で日本が切れる「カード」とは
【全2回(前編/後編)の後編】
トランプ米大統領(78)の相互関税策により、日本の政界にも激震が走った。トランプ大統領はその後、「相互関税」の措置を90日間停止すると発表したものの、今後の展開次第では、自動車産業をはじめ、日本経済が大打撃を受けるのは間違いない。だが、肝心の石破茂首相(68)はこの間、無為無策で、ただため息をつくばかり。事態打開のためには、“あの人物”に動いてもらうほかないとの声まで飛び出して――。
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前編【「石破さんは日米交渉で“誰と話していいか分からない”と…」玉木雄一郎氏が明かす 一方、トランプ関税で「はしゃいでいる自民幹部」の名前とは】では、トランプ関税を巡る自民党内での動きについて報じた。
一方、政治ジャーナリストの青山和弘氏によれば、
「石破氏が恐れていたのは、国民から“何もしていない”と見られてしまうことでした。与野党議員の突き上げや株価急落を受けて、早々に電話会談をやらざるを得なくなったのです」
石破氏は7日午後9時から約25分間、トランプ氏との電話会談に臨んだ。会談後、記者団に、
「大統領に対し、日本が5年連続で世界最大の対米投資国である旨を述べつつ、アメリカの関税措置により、日本企業の投資力が減退することを強く懸念している、と述べました。トランプ大統領とは、今後も率直かつ建設的な協議を続けていくことを確認いたしました」
と説明。
トランプ大統領は「石破氏をはなから相手にしていない」
日本側は赤澤亮正経済再生担当相、米国側はベッセント財務長官とグリア通商代表部代表が交渉の窓口となり、協議を継続し、適切な時期での訪米を目指すことになったが、
「首相周辺は“ベッセント財務長官らが交渉の相手に決まっただけでも一歩前進だ。なにもやらないよりはよかった”と胸をなで下ろしています」(青山氏)
しかし、厳しい見方もある。
「トランプ氏は石破氏が盟友・安倍氏の政敵だったと熟知しており、はなから相手にはしていない。赤澤氏が担当閣僚として交渉に当たっても、早期の訪米実現は難しいでしょう」
とは、自民党関係者だ。
「今年2月の訪米が成就したのも、昨年暮れに安倍昭恵さんがトランプ夫妻と面会し、“地ならし”したから。その場に同席した、麻生太郎元首相の側近が昭恵さんとトランプ夫妻の面会をアレンジしたといわれています。石破氏と麻生氏は犬猿の仲で知られていますが、石破氏は最終的に麻生氏にすがる以外に事態を打開する策などないのでは。少なくとも野党を頼ったところで、なんの助けにもならないですよ」(同)
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