ダウンタウン浜田不在で「ナンバーワン」に躍り出た天才芸人…かつての「うんちく王」が「超万能型MC」に

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「日本一のMC」

 上田の万能ぶりを象徴していたのが、2021年1月に体調不良で緊急入院した爆笑問題の田中裕二に代わって「サンデー・ジャポン」(TBS系)のMCを務めたことだ。生放送の開始早々、太田が「日本一のMCが来てくれました!」と声を張り上げると、スーツ姿の上田がスタジオに現れた。その回限りの代役であるにもかかわらず、まるで長年この番組を担当していたかのような安定感で進行を務めた。

 テーマは芸能スキャンダルから政治的な話題、視聴者からの意見紹介まで幅広かったが、どんなトピックにも適度なユーモアを添えながら、ゲストのコメントを的確に引き出し、番組の流れをスムーズに保ち続けた。その姿に、ネット上では「どんな番組でも成立させる天才」「代役とは思えない完成度」と絶賛の声が相次いだ。

 上田自身は謙遜して「自分が司会者だという意識はない」と語っているが、その場を仕切って番組を成立させるということにかけて、彼の右に出る者はいないだろう。ボケもツッコミも仕切りもできる芸人はいるが、そのすべてを高いレベルでこなした上に、幅広いジャンルの番組に対応できる人はほとんどいない。

 浜田というレジェンド級の逸材を欠いている今のテレビ界では、上田こそが名実ともにナンバーワンの芸人MCであると言っても過言ではないだろう。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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