AI時代に「銀行」と「銀行員」はどう変わるのか 三井住友FG社長が語る「これから求められる人物像」とは

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 店舗も人員も削減傾向にある「メガバンク」。その背景に、進歩の著しいAIの影響があることは周知の事実であろう。こうした中、銀行、そして銀行員の在り方はどう変わっていくのか。三井住友フィナンシャルグループの中島達社長が展望する。

※以下は「週刊新潮」2025年4月3日号掲載の内容を再編集したものです。

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 昨夏の日銀による利上げ以降、軒並み好業績が続くメガバンク。その一角、三井住友銀行も勢いを増すばかりで、グループ全体における今期の純利益は、通期で初の1兆円超えとなる見込みだ。

 これまでの金利なき“冬の時代”について、三井住友フィナンシャルグループの中島達社長はこう振り返る。

「やはり、マイナス金利の6年間は苦しかったですよ。特にリテール事業は厳しく、店舗の小型化や削減、バックオフィスのデジタル化など、相当な努力をしました。こうしてベースのコストを下げて耐えていた中、昨年から金利がつくようになったので、それが収益に反映されやすくなっています」

 マイナス金利下に行った効率化が、利上げによって利益に直接つながるようになってきたのだという。

ジェネラリストよりもスペシャリスト

 そんな銀行業界が直面している“激変要素”の一つが、AIである。「AIの影響で店舗の人員配置などもかなり変わってきている」と話す中島社長だが、

「独自のAIシステムもいち早く開発していまして、会議の議事録やお客様への提案資料のドラフト作成などに、多くの行員が活用しています。金融機関の中でも一番使っているんじゃないかと思います。資産形成の相談などにも活用できるようにしていきたいですね」

 こうした時代背景に合わせて、人事制度も大きく変わりつつある。

「ちょうど今、三井住友銀行で、専門性の強化、能力・実績主義、ダイバーシティの三つを柱として、思い切った人事制度改革をやっているところなんです。これまでの銀行のイメージとは打って変わって、ジェネラリストよりもスペシャリスト、年功よりも能力や実績で評価するよう、変革を進めています」

 そしてこう続ける。

「みなさんが思い浮かべる銀行のイメージというものがあるのは承知していますが、銀行も“ふつうの会社”になっていると思います。例えば中途採用で入ってきた方も、早くに役職が上がったりしていますよ。たしかに以前は純血主義的な雰囲気があったように思いますが、今は一度退職された方の出戻りだって歓迎しているくらいです」

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