新1年生「悠仁さま」を公安3課は守り切れるか ローン・オフェンダー対策の難しさとは

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「公安3課」の発足

 4月から警視庁ではローン・オフェンダー、つまり特定の組織に属さずに過激化した個人や少人数のグループに専従で対策にあたる課として公安3課が発足した。2022年の安倍元首相銃撃事件、23年の岸田前首相襲撃事件などローン・オフェンダーによる事件が連続して発生したことが背景にある。対策強化は当然のようにも見えるのだが、新たな現場に関係することになった捜査員からは困惑の声も聞こえてきているという。4月から筑波大に通われる悠仁さまの警備との関連性も注目されるところだが、前途は多難のようだ。安倍元首相殺害犯のような存在をマークするのはことのほか困難という声も――。

 警視庁は従来の公安部を再編し、「公安3課」を発足させた。2022年に安倍元首相が演説中に銃撃されて死亡した事件や、23年に当時の岸田首相が襲撃された事件、24年に自民党本部や首相官邸前で火焔瓶が投げ込まれる事件が発生するなど、ローン・オフェンダーによる犯行が大きな脅威となっている。

現場からは「気が重い」の言葉

「ローン・オフェンダーに関する捜査や情報収集は公安部内でさえうまく連携が取れていなかったことを踏まえて、単独の部署が立ち上げられることになりました。全国の警察で初めてになります」

 と、社会部デスク。

 公安部内では中核派や革マル派などの極左暴力集団の担当を公安1課に統合し、新たに公安2課が右翼対策を担う。公安3課は、中核派や革マル派などの組織を担当してきた2つの課を1つに統合したうえで創設されたものだ。

「情報のネットワークを整備し、犯罪の端緒になり得るありとあらゆるものを引っ掛けようということで、これは従前の一般的な捜査方針と何ら変わるものではありません。捜査手法として多いのは“協力者”を作ることで、それもこれまでと変わらないでしょう。ただ、現場からは気が重いといった言葉と共にため息も聞こえてきますね」(同)

 どういうことなのだろうか。

山上徹也被告の場合

「近隣住民とトラブルが頻発しているとか引きこもりが続いているとか、地道にそういった情報を集めつつ、ネット上の書き込みなどをふるいにかけつつなど、やるべきことはたくさんあるようです。が、果たしてそういった対策で実際にローン・オフェンダーを特定でき、暴走を止めることができるのかなかなか自信が持てないということのようです」(同)

「怪しい組織」ならばある程度数に限りがある。それらのマークは公安警察の得意分野である。しかし膨大な数の個人をマークするとなるとかなり難しい作業が予想される。

「ネット上に“もう終わりだ”“裁きを受けさせる”などといった書き込みを見つけたとしましょう。しかし、投稿主を特定できたとしても、その人物がローン・オフェンダーかどうかは別の話です。安倍元首相を殺害した山上徹也被告は、犯行予告めいた書き込みをしていました。しかし、事前の警備対策会議においても彼を要注意人物としてマークすることはできませんでした」(同)

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