作家・関かおるが「まじかよ!」と度肝を抜かれたアメリカでの高校時代の思い出 「教師の犬が亡くなると、2代目が現れ…」

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突如現れた「2代目サンディ」

 おどろいたのは、その数週間後のこと。サンディが再び学校にやってきた。ゴールデンレトリバーの、おとなしい女の子。

 2代目サンディである。

 まじかよ! と思った。ソフトバンクのCMに出ていた白い北海道犬が頭に浮かんだ。ペットがすげ替え可能な存在だったことに衝撃を受けた。ミスター・ブラウンにとっても、たぶん私たちにとっても。

 2代目が教室にいれば、生徒たちは群がるし、私はかわらずなにかをゆるされたような気持ちになった。2匹のサンディの差を見つけようともしないまま卒業した。サンディたちは同じ役割を与えられ、それを果たしていた。

 最初のサンディにはもう会えない。もしかなうなら、2匹の毛並みを、瞳のかたちを、ほえる声を、比べてみたかった。それから、ごめんねって、理由はよく分からないけど抱きしめてみたかった。

関かおる
1998年東京都生まれ。2024年『みずもかえでも』で、第15回小説野性時代新人賞を受賞し、同作でデビュー。

デイリー新潮編集部

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