「銭形警部を降りてくれと言われた時は…」 妻が明かした俳優・声優「納谷悟朗」の“物凄く女の子にモテた”素顔と最期

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 トムにジェリーがいるように、ルパン三世には「とっつぁん」こと銭形警部がいる。トレードマークはベージュのコートにソフト帽、そしてどこか艶があるダミ声。一連のアニメシリーズで銭形警部を演じた俳優・声優の納谷悟朗さんは、そのキャラクター造形にも大きな役割を果たしたことで知られる。

 モンティ・パイソンのジョン・クリーズやクラーク・ゲーブル、ジョン・ウェインの吹き替え、「宇宙戦艦ヤマト」シリーズの沖田艦長などでもおなじみの納谷さんが慢性呼吸不全で亡くなったのは、2013年3月5日のことだった。享年83。俳優で妻の火野カチ子さんが「週刊新潮」に明かしていた、最愛の伴侶の素顔とは。

(「週刊新潮」2013年5月16日号「銭形警部『納谷悟朗』の妻が『彼は昔、プレイボーイだった』」をもとに再構成しました)

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物凄く女の子にモテていましたよ

 結婚して、今年(2013年)がちょうど40年目だったんです。結婚したのは、私が29歳で、納谷が43歳。私が劇団テアトル・エコー研究生で入った時、彼は演出家兼俳優。

 当時の納谷は、劇団で常に主役を張っていましたね。この世界では有名人だったし、舞台上でも色気があって憧れの人でした。当時、納谷は物凄く女の子にモテていましたよ。自分で口説かなくても、女性の方から寄ってくるくらい。ですから、女性には事欠かなかったようでした。

 付き合うようになったのは、私が惚れていたのもありますが、納谷も私が入団した時から目を付けていたようなんです。もちろん、彼は遊びのつもりでしょう。最初は結婚する気なんかなくて、私もなんとなく恋しちゃった感じ。相手は、プレイボーイの誉れ高い人だから、始めは「惚れ合っている間は、付き合おうね」というものでした。

 付き合い始めて1年くらい同棲していたのですが、それを知った私の親が怒り狂っちゃったんです。その頃、父は心筋梗塞を起こしたばかりでしたから、「俺を殺す気か。別れるか、結婚するかの二者択一だ」と迫られたんですよ。それを納谷に伝えたら、「じゃあ、籍を入れよう」と言ってくれました。

 結婚してからの女遊び? そんなもの、私が許すはずがありません。幸い、浮気を感じたことは一度もありませんでしたね。

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