オンラインカジノ騒動も即座にネタにする「さらば青春の光」のYouTubeが人気の理由

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見ごたえのある企画

 さらば青春の光は「キングオブコント」と「M-1グランプリ」の両方で決勝に進んだ経験があり、実力派の芸人として知られている。大手事務所に所属しているわけではなく、独立して個人事務所で活動している。それでも、今では人気を確立していて、熱狂的なファンを多数抱えており、単独ライブの全国ツアーも大盛況である。

 彼らが人気者になった大きな要因の1つがYouTubeである。ここでコンスタントに見ごたえのある企画をやり続けたことで、少しずつ登録者数も増えていき、彼らの面白さが多くの人に伝わるようになった。

 芸人のYouTubeチャンネルにもいろいろな種類があるが、彼らはテレビのバラエティ番組のように作り込まれた動画を公開している。さらば青春の光の2人は、それぞれゴシップが好きだったり、女癖が悪かったりして、ダークなイメージがある。大手事務所から独立して干されかけた上に、先輩芸人の妻との不倫が発覚したことで、業界内で四面楚歌の状態に陥ったこともある。

 でも、彼らは自分たちのそういう「野良犬」的なイメージを生かして、それをYouTubeの企画に落とし込んでいる。彼らのチャンネルでは、下ネタ、ギャンブル、ゴシップなど、ダークなキャラを生かした企画も多い。しかも、ただ過激なことをやっているわけではなく、それを笑いにするための企画力もしっかりあるので、クオリティの高い作品に仕上がっている。品行方正なイメージのある芸人にはできないことをあえて積極的に行うことで、独自の面白さを見せている。

 実力で汚名を返上して快進撃を続けるさらば青春の光は、今どき珍しいがむしゃらなハングリー精神を備えた頼もしい芸人である。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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