中日“譲渡金たった1億円”でも…小笠原の「駆け込み合意」に肝を冷やしたワケ 「どうしても決まって欲しかった」高橋宏の予行演習にとどまらない果実とは?

スポーツ 野球

  • ブックマーク

ぎりぎりのメジャー契約?

 中日からポスティングシステムによる米大リーグ移籍を目指していた小笠原慎之介投手(27)が今オフの日本人選手の大トリとして、ナショナルズ入りで合意に達した。契約は2年総額350万ドル(約5億5000万円)で、中日への譲渡金は70万ドル(約1億1000万円)となる。労使協定による年齢制限のため、マイナー契約しか結べなかった佐々木朗希投手(23)のドジャース移籍で、ロッテが受け取る約2億5000万円には、はるかに及ばなかった。それでも、さる中日球団関係者は安堵感を隠さない。

「期限が迫っていたので、どうなることかと……。どうしても決まって欲しかったので、ひと安心です」

 仮に小笠原が残留なら、中日はローテーション投手を減らすことはなかった。戦力ダウンしたとしても、球団内ではポスティング移籍の成立が待望されていたという。その理由を探ってみると――。

 交渉期限は日本時間1月25日午前7時だった。合意か、破談か。そのわずか数時間前に飛び込んできた朗報を、ナショナルズは球団のSNSで、バスケットボールの終了のブザーが鳴る直前に放たれたシュートが得点となる「ブザービーター」にたとえた。長年、米大手マネジメント会社で活動する代理人が説明する。

「小笠原は同じ左腕の今永(昇太投手=カブス)と比べると、速球で空振りを取れない点などで評価は劣っていました。当初から、ぎりぎりメジャー契約を取れるかどうかというライン。メジャー(のストーブリーグ)では有力選手から先に決まるため、ポスティングにかける時期を後ろにしたのは、それを見越した戦略でもあったでしょう」

 日本では2月1日のキャンプインが間近だった。中日は小笠原の移籍を前提に、今季のチーム編成を固めていた。

「小笠原が戻ってくるとなると、支配下登録枠をどうするかなど編成面で再調整が必要になっていました。戦力が流出しないことだけで言えばプラスですが、競争という意味ではマイナスも大きかったと思います」(前出の球団関係者)

次ページ:大塚以来のポスティング利用

前へ 1 2 3 次へ

[1/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。