「スーツに革靴で登山」「イジるとふてくされる」 石破首相の「変人伝説」を支援者らが明かす
「大きな子どもみたい」
これまでメディアは石破氏について「サービス精神旺盛で、愛されキャラ、転じてイジられキャラ」(2024年10月9日付毎日新聞夕刊)という人気者イメージを盛んに広めてきたが、それは実際に地元で長く接してきた人々の印象と、かなりギャップがあるようだ。
後援会青年部に所属する40代男性も、メディアによって「石破茂」の好感度が上がり過ぎていたことこそが、今のバッシングを招いたのではないかと言う。
「モーニング姿がだらしないとか、食べ方が汚いとかいろいろたたかれていますけれど、私たちからすれば“もともとそういう人なんですよ”という思いしかない。選挙運動中におにぎりを食べて、ほっぺたにご飯粒つける大きな子どもみたいな人です。基本的に頭の中は政治のことしかないので、自分のビジュアルが世間にどう見られるかなんてまったく気にしていない」
そんな外見への無頓着ぶりを象徴する「都市伝説」が、後援会や石破支持者の間でまことしやかにささやかれている。それは「石破茂はスーツしか服を持っていない説」――。前出・山本さんが解説する。
「慶應義塾大学時代からスーツ姿で授業に出ていたというのは有名な話ですが、実は今もスーツ姿しか見たことがない。私たちの間では“石破さんって皇室みたい”なんて冗談まであるほどです」
後援会の70代男性も驚くような証言をする。
「昔、みんなで標高800メートルくらいの山に登って山頂のキャンプ場でバーベキューをしたことがあるんですが、その時も石破さんはスーツと革靴で登っていたね」
移動中も勉強
この「説」の真偽を確かめるべく、私は鳥取県議会を訪ねた。別館2階にある自民党議員控室で話を聞かせてくれたのは、ポロシャツに身を包んだ福田俊史県議だ。2011年に県議に初当選するまで、約15年にわたって石破氏の秘書を務めていた福田氏にこの都市伝説を伝えると、笑いながらこう言った。
「確かに私もスーツ姿以外見たことがありません。政治家でも普通は、議会が休みとか支持者の人と飲む時なんかは、今日の私のようにカジュアルな格好をすることもあります。でも、石破先生はいつもスーツで、どんなに暑い日でもネクタイをしっかり締めている」
いくら国会議員とはいえ、そんな堅苦しい生活を続けていたら、さすがに息が詰まるのではないか。しかし福田氏によれば、「政治家・石破茂」にとっては、それが当たり前の日常だという。
「政治家って会合やあいさつ回りなどで飛び回ることが多いじゃないですか。ですので、移動中の車の中で仮眠を取ったり休憩をするものですが、私は石破先生のそんな姿を見たことがありません。移動中も必ず資料に目を通したり、本を読んだりしている。勉強熱心というか、とにかく自分に厳しい人なんです」
その後も地元県議・市議らを取材したが、やはり同様のエピソードばかりだった。持ち上げているわけではなく、みなそういう面しか見ていないと言う。
「石破君も一会員に過ぎない」
これはつまらない。もっとダメな部分というか、人間臭い話はないものか。そう思っていたところ、後援会関係者が「石破さんと友人のように付き合っている人たちがいる」と、ある団体を紹介してくれた。
それは「どんどろけの会」。1984年に鳥取や日本を良くしようと地元の有志が結成した会が前身で、石破氏が初出馬してからは選挙を応援しているいわば勝手連だ。「どんどろけ」とは鳥取の方言で「雷」を意味し、政治・社会改革への意気込みを表している。これまでマスコミの取材は一切断ってきたが、今回は特別に創設時からいる古参のメンバーたちが取材に応じてくれるという。
鳥取市内にある地元有名企業の会議室に向かうと、石破氏と同世代の男性4人が迎えてくれた。ここではすべて仮名とするが、この会社の経営者である佐藤さん、さる団体の理事長を務める鈴木さん、やはり企業経営者の木村さん、そして「どんどろけの会」の現・会長の石田さん、4人ともいわゆる「地元の名士」だ。
「われわれは誰かに指図されるのが嫌な人間たちが集まっているので、石破君を応援するかどうかも話し合って決める。もし意見が合わないようなら応援をやめる。だから、石破君も一会員に過ぎないんです」(石田会長)
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