「記憶喪失モノ」のドラマが5本も乱立する理由 「“韓流あるある”を連発する日本ドラマ界の余裕のなさ」

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韓流ドラマ

 なぜ、同時多発的に記憶喪失モノが放送されるに至ってしまったのか。

「2020年代の初頭、ネットフリックスなどの動画配信サービスで韓流ドラマが世界的なブームになりました。韓流といえば古くは『冬のソナタ』に代表されるように記憶喪失が“鉄板ネタ”で、近年でも非常に多くの作品で用いられています。そんな韓流の影響が、今頃になってようやく日本のドラマ界に表れてきたと指摘する声があるのです」(キー局関係者)

 日本のテレビドラマの企画概要は、半年から1年前に決まるといわれており、

「現在、韓流ドラマのブームはもはや一段落し、沈静化していますが、去年はまだまだ余波が続いていました。この春、日本で放送されている記憶喪失モノはちょうど去年のその頃、韓流を参考にするような形で企画概要が決まったと考えられるのです」(同)

“韓流あるある”を連発する日本ドラマ界

 前出の古崎氏に聞くと、

「かつての日本のテレビマンであれば、臆面もなくベタな展開を繰り広げる韓流ドラマを模倣するようなことはしなかったと思います。でも、今や日本のドラマ界ではいわば“韓流あるある”が連発されている。ネットフリックスなどの海外の大資本に圧倒され、余裕がなくなっているのではないでしょうか」

 前出の今井氏もこのように嘆く。

「もう記憶喪失はお腹いっぱい。各局のお偉いさんたちで話し合って、記憶喪失モノは全局で1クールに何本まで、という規制を作ってほしいくらいです」

 かくも一向に止まらないテレビ離れ……。何か付ける薬はあるのだろうか。

週刊新潮 2024年5月23日号掲載

ワイド特集「さよならの向う側」より

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