泉鏡花の名作は“復讐”が目的だった? 尾崎紅葉に引き裂かれた神楽坂芸妓との恋、小説と正反対の結末とは
『天守物語』『滝の白糸』『荒野聖』など、泉鏡花の小説を原作とした映画やドラマ、演劇、歌舞伎の作品は数多い。作家と芸者の悲恋がテーマの1つである『婦系図』もそんな一作である。これまで様々な名優たちが出演した作品ではあるが、そもそも鏡花が執筆した動機は、師匠である尾崎紅葉への“復讐”だったとも。実は鏡花、実際に芸者と恋に落ち、紅葉にその仲を裂かれているのである。だが、現実で迎えた結末は、悲恋小説とは正反対だったようだ。
(「新潮45」2006年6月号特集「明治・大正・昭和 文壇『男と女』13の愛憎劇」掲載記事をもとに再構成しました。...