「歌舞伎役者は学校に行かなかった」 團十郎の娘・ぼたんの中学進学で思い出す「梨園と学校」

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友達はほとんどいない

 信じがたい話はまだある。

「昔は歌舞伎が今のように身近ではなく、何かといじめられたようです。白鸚さんは“おしろいを洗い切れないまま学校に行ってからかわれた”“学校時代の友達はほとんどいない”と言っていました。歌舞伎俳優は6歳ごろから謡(うたい)、鳴り物、踊りといった稽古がぎっしり。仲間と遊ぶ時間もないのです」(水落氏)

 なんとも気の毒な学校生活だが、進学先として定番だったのは暁星学園。長期の休みにも理解を示す自由な校風が魅力だったそう。現在、梨園の子弟を引きつけるのは一貫校の慶應義塾や青山学院で、青学への先陣を切ったのは團十郎の父・十二代目團十郎だとか。

 かたや、“役者は芸にまい進すべし”派もある。

「六代目中村歌右衛門は、学校など行かなくてもいいという説。今の中村芝翫さん(58)は青学中等部で学校は終わりにしていますが、これは大叔父にあたる六代目歌右衛門の意見があってのことでした」(同)

 とはいえ、芝翫の息子3人は大学へ進学。義務教育のみならず高等教育もスタンダードになった背景には、

「梨園の中で、自分たちは特別だとの思いが薄れ、経済的にも社会的にもある程度恵まれた一般家庭と変わらない、という考えが浸透したのでしょう」(上村氏)

週刊新潮 2024年4月25日号掲載

ワイド特集「“事件”は舞台裏で起きている」より

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