メッツかフィリーズか…トラウト移籍にいよいよ現実味、エンゼルスがいま考えていること

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 アメリカに「ファンサイデッド(FANSIDED)」というネットメディアがある。プロスポーツやエンタテインメント関連のニュースを得意とし、報道の信頼性からアメリカの名門出版社に買収されたこともある。もちろんメジャーリーグ・ベースボール(MLB)の記事には力を入れており、日本のメディアが翻訳して内容を伝えることも珍しくない。

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 このファンサイデッドが4月17日、「もしエンゼルスが聞く耳を持つのなら、マイク・トラウトの緊急トレード先は2球団(2 emergency Mike Trout trade destinations if the Angels will listen)」との記事を配信した。

 マイク・トラウトと言えば、日本でも「トラウタニ」の愛称が知られている。昨年までエンゼルスに在籍した大谷翔平の打順は2番、トラウトは3番が定位置だったことに由来する。

 2023年3月に開催されたワールド・ベースボール・クラッシック(WBC)の決勝戦では日本とアメリカが対戦。9回裏に大谷がクローザーとして登板し、最後のバッターはトラウトという劇的な名勝負は今でも語り草だ。

 何よりトラウトはMLBを代表する、押しも押されもせぬスーパースターだ。13年間のキャリアで368本のホームランと206の盗塁を記録。シーズンMVPの受賞は3回で、2009年のドラフトで1位指名されてから、ずっとエンゼルス一筋だ。

 2019年には12年総額4億2650万ドルでエンゼルスと契約を延長。当時、日本のメディアは約470億円と報じたが、最新の為替レートだと約660億円になる。

 いわば“ミスター・エンゼルス”であるトラウトにトレード報道が持ち上がったわけだ。アメリカは当然として、日本でもファンサイデッドの記事内容をスポーツ専門サイトなどが紹介したことから、わが国の野球ファンの間でも相当な話題になっている。

ドジャースの黄金期

 担当記者は「ファンサイデッドの記事は、エンゼルスが2014年以来、ポストシーズンに進出していないことを重く見ています」と言う。

「記事は『トラウタニ』のことも触れ、2人のコンビが機能しないまま、大谷はドジャースに移籍してしまったと総括しました。さらに近年のエンゼルスは若手の育成も失敗を重ねていると指摘。あえてトラウトを放出することで、見返りに有望な新人選手を獲得するメリットを強調しました。そしてトレード先の有力候補として、メッツとフィリーズの2球団を挙げたのです」

 メジャー研究家の友成那智氏は「ここ数年、エンゼルスがトラウトの放出を考えてきたのは事実で、ファンサイデッドの報道は信憑性が高いと思います」と言う。

「トラウトのトレード報道を正しく理解するためには、エンゼルスとドジャースの歴史に触れる必要があります。ドジャースは投手力、機動力、守備力を重視した『スモールベースボール』を初めて考案したチームです。1958年にニューヨークからロサンゼルスに移転すると、60年代から70年代にかけて黄金期を迎えました。そしてドジャースの野球を熟知した選手が監督やコーチとなって他チームに招かれたのです。ちなみにV9を達成した巨人の川上哲治監督もドジャースと合同キャンプを行うなどして、ドジャース流のスモールベースボールを貪欲に学びました」

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