「バカやろう」二階元幹事長の3500万円、1億5000万円、50億円をめぐる言行録

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二階氏と金

 今回の不出馬表明で、世耕氏を自由に動かせてしまうことにならないのだろうか。

「世耕氏もまた今回の裏金疑惑で安倍派(清和会)の幹部として党の処分を免れず、8段階ある処分のうち、非公認が下るとされています。それを岸田文雄首相(総裁)が二階氏に伝えた後に会見が行われたようです。処分のことを踏まえれば世耕氏が次期衆院選に無所属で出馬して、二階氏の後継者と対峙する可能性は低いように感じられます。その場合、一回見送りになるということですね。ただ、次期衆院選の際に総裁が岸田氏ではない可能性もあり、党内がどうなっているかもわからないので、予断を許さない状況ではあります」(同)

 ところで、二階氏をめぐってはかねて金の問題がつきまとってきた。

 2019年7月の参院選広島選挙区に出馬した河井案里陣営に党本部から1億5000万円が流れていた件でも名前が取りざたされた。

「選挙時に党から支給される額としては“一桁違う”との指摘がありました。その後、河井氏や夫で選挙を取り仕切った克行法相が公選法違反容疑で逮捕・起訴され、その公判で二階氏の名前が飛び出しましたのです」(同)

企業で考えてもらえれば

 2020年10月、案里被告の公判で検察側の証人として出廷した自民党の広島県議が案里被告からカネを受け取る際に、「当選おめでとうございます。二階幹事長から預かってきた」と話したと証言したのだ。これについて、「案里被告はよくブラックジョークを言うので、ジョークだと思った」と県議は付言したが、「1億5000万円の支出=二階氏」という構図が流布していった。

 しかし、二階氏はこの見方にいたく不満だったようだ。

「二階氏は、“企業で考えてもらえれば分かりますよね。社長が言ったから初めて経理なり総務なりが動くわけでしょ。独断で総務部長がどうのこうのっていうのはあり得ませんよ”と言っていたようですね。この場合、社長は総裁、総務部長が自分のこと。暗に当時の安倍晋三首相(総裁)の指示をほのめかしたということでしょう」(同)

 結局、自民党はこの1億5000万円は買収の原資に使われていないとすることで幕引きを図っている。しかし、世間ではなかなかその説明が受け入れられていないのも事実だろう。

約50億円の政策活動費

 また、その後は、二階氏が歴代最長の5年超にわたって幹事長の職にある中で、約50億円の政策活動費を差配していたことが度々問題視されてきた。

「二階氏本人は“私利私欲を満たすようなことはなかった”などと話しているようです。が、その一方で二階氏が幹事長職にこだわったのが、この政策活動費だったとも言われています。一般に“幹事長は党の金を自由に使える”と言う時にはこの政策活動費のことを指します。政治資金収支報告書に記載義務がなく、領収書も不要なので実質的にさまざまな用途に使用可能な“財布”と言われており、一説には二階派の勢力拡大の助けとなったとされています」(同)

 この政策活動費についても二階氏は「企業で考えてもらえれば分かりますよね。社長が言ったから……」などと弁明するのだろうか。

デイリー新潮編集部

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