「岸田首相は総裁選出馬の資格がなくなるんじゃないの」 自身の処分について取り沙汰されてきたブラック・ジョークとは

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前もってもう少し話し合える時間が

 そもそも、今回の大型処分の予告はどういった経緯で進んだのか。

「党内から岸田首相や二階俊博元幹事長も含めて“処分の聖域を作るべきではない”との声があがっていたのは事実です。ただ、二階氏はともかくとして、現職の総裁に処分というのはさまざまな議論を呼ぶところで判断が難しい。それでも岸田首相は“例外ナシ”との方針で処分を受ける姿勢を自民党執行部に示しました。潔さそうに見えるかも知れませんが、仮にそういった姿勢を示すにしても“前もってもう少し話し合える時間があれば”というような声が内輪からは聞こえてきていますね」(同)

 岸田首相は、与野党で政治倫理審査会(政倫審)への出席をめぐって誰を出すかについて綱引きをしている最中に、その折衝を踏みにじるようにして出席を表明した経緯がある。

「この首相の判断には野党も驚いていました。“首相を政倫審に出すなら、その後の証人喚問要求はNG”などといった取引めいた提案を与党側はしていたようですが、首相の出席表明でそれもうまく行かず、結局、証人喚問要求にまで至っていますね」(同)

党の役職停止が下れば総裁選に

 身内が心配しているのは、この種の「サプライズ」を自身の処分においても断行しかねない点だ。

「政倫審での判断と同様、“オレを処分しろ”と聞こえなくもない申し出は悪手に近いというのがもっぱらの評価です。現在ブラック・ジョークのように語られているのは、例えば党の役職停止が下れば総裁ではなくなるし、期間によっては総裁選に出られなくなるよねという話です。仮に期間を総裁選が予定される9月前までと区切れば、忖度だと指摘されるでしょう。また国会・政府の役職辞任勧告が処分として下されれば、首相の立場はどうなるのかという話にもなってきます。個々の処分についてのシミュレーションを真面目にやれば、さまざまなケースがあり得るのですが、それを首相が想定していたとは思えないですね」(同)

 首相の処分は党規委員会にはかられる前に執行部で議論されるようで、首相と距離のある茂木敏充幹事長がこれを取り仕切ることになる。「首相に対する党内からの厳しい声を反映して厳しく対処した」などと、茂木氏が「英断」を下すようなことがあれば、そのままクーデターとなりかねないのだが……。もっとも、「岸田派では裏金作りがなかった」という点で、岸田首相には処分が下されない見込みだという。

デイリー新潮編集部

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