他局にも波及する「不適切にもほどがある!」効果 岐阜県町長の「頭ポンポン」も

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 TBSドラマ「不適切にもほどがある!」のヒットで「何が“不適切”か」があちこちで話題だ。ドラマを放送するTBSだけでない。他のテレビ局も「不適切」を流行語として意識的に話題にしている。【水島宏明/ジャーナリスト・上智大学文学部新聞学科教授】

日テレは夕方ニューで「不適切」を特集

 日本テレビは3月4日の夕方ニュース「news every.」で「これって不適切ですか?あなたの接し方」という大がかりな街頭インタビューを放送した。職場の“不適切”についてどう思うかを街頭インタビューで尋ねるもので、世代間で感じ方の違いがわかり興味深かった。

 昭和は今ならばセクハラ・パワハラ・体罰といえるふるまいが許されていた時代だった。年配者はそのことを思い出し、こう振り返る。

「(会社の上司に連れられて)よくスナックに行っていた。上司と腕組んで音楽に合わせてダンスしていた。そういうことを普通にできちゃっていた自分もどうかなと思う」(会社員の女性・50代)

「当時は何かあれば連帯責任で“ケツバット”。(嫌な思い出では)ではない! ある意味なつかしい」(建築系勤務の男性・40代=元野球部)

 まさにドラマでは野球部顧問の主人公・小川市郎(阿部サダヲ)が部員の中学生を“ケツバット”する場面も登場する。そんな自分たちの常識を年配の世代が押しつけてくる「不適切」は、多くの若い世代が感じることのようだ。

「『俺らの代はこうだった!』と言われても時代は変わっていくしそれを押し付けられても…。当時当たり前だったからそれをやっていない自分たちが甘いと言われるとモヤッとする」(医療系勤務の女性・20代)

「私おなかが弱いんですけど…。(飲み会で)トイレの個室から出られなくなってしまった。翌日に指導されて『ちゃんと対策しないとダメじゃん』と。生理現象だし…」(IT勤務の男性・30代)

「不適切」かどうか若い世代と年配の世代で見解が分かれた言葉もあった。

【(職場で上司が)下の名前で呼ぶこと】
 30代の看護師の女性は「下の名前で呼ばれると鳥肌が立つ」と、“不適切”だという意見。農業系勤務の60代の男性は「親近感が出る」と“適切”だが、その娘の医療系勤務の20代女性は“不適切”。「気持ち悪いなあと思う。下の名前で来られたら距離をとる」というのがその理由だった。

【「電話は新人が率先して出ないと」】
「電話は3コールまでに出ないと1時間くらい説経されました。『タダで給料もらってるん違うぞ!』と。『先輩が手を出す前に自分が出す』と」と語るのは、事務職員の40代女性だった。一方、母とインタビューを受けた10代の女性は「生まれた年が違うだけでそう言われたら腹立つし、新人の方が給料も低いし、だったら(年配者も)同じように業務をすべき」という意見だ。

【「その仕事いつまでかかる?」】
 看護師の30代の女性は「それを言ったらプレッシャーだし、パワハラになる」と答えたが、その父親の建築会社経営の50代男性は納得できない様子で首を傾げていた。

【「君のためを思って言うけど…」「もっと元気だしなよ」】
農業系勤務の60代の父親は“適切”にしたが、医療系勤務の20代の娘さんは「ナイーブな人もいるから言わなくていい」と、“不適切”にした。

 全体をとおして、やはり若い世代ほど“不適切”が多い印象だが、50代の会社員の男性と20代の会社員の息子の親子では、息子さんの方が“適切”が多かった。同じ年代でも感じ方や考え方は必ずしも一致するわけではないようだ。どこまで世代の傾向といえるのか、評価は難しい。

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