「不適切にもほどがある!」の真実 数字が示す“最も熱心な視聴者”は意外な層

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昭和に市郎のような男がいた「事実」

「不適切にもほどがある!」の場合、現代に慣れていなかった第1回時点の市郎は、女子高生に向かって「パンツ見えそうなスカートを穿いて、痴漢してくださいと言っているようなもんだぞ」と口にした。秋津真彦(磯村勇斗・31)の会社の人間に対しては「頑張れって言われたら、1カ月会社を休んでいい時代なのかよ」と毒づいた。モラハラ、セクハラ、パワハラのオンパレードだった。

 第2回でも「(女性の)部屋に上がった時点で(行為の)合意みてーなもんだろ」と、とんでもない考え方を口にした。正に不適切。しかし、市郎は過去の男なのだ。

 過去や未来の価値観や文化、文明を描くのがタイムリープ作品である。市郎のような男が昭和期に存在したのは事実。それを描かなかったら、歯ごたえのないドラマになってしまう。

 脚本を書いているクドカンこと宮藤官九郎氏(53)は、おそらく市郎の言動に対し、反発の声もあることを読んでいた。だから脚本内に反発に対する返答と受け取れるセリフを盛り込んでいる。

進化した市郎

 第6回。市郎はバラエティ番組「常識クイズ 令和Z世代VS昭和おやじ世代」への出演を依頼されたが、最初は断る。

「ダメだろ、オレなんて。口を開けば不適切だぜ」(市郎)

 しかし、脚本家の江面賢太郎(池田成志・61)に背中を押され、考えをあらためた。

「だから、いいんだよ。今つまんないじゃないテレビ。当たり障りのない奴ばっかでさ」(江面)

 この江面の言葉にクドカンの思いが込められていると見る。批判を怖れてばかりでは表現の幅が狭まると考えているのではないか。

 また、お気づきだろうが、市郎は進化しつつある。回が進むに連れ、問題発言が減った。現代の常識を少しずつ身に付けている。だから「ダメだろ、オレなんて。口を開けば不適切だぜ」という自嘲気味の言葉も口にするようになった。TBS「JIN-仁―」(09、11年)の主人公・南方仁(大沢たかお・55)が、タイムリープ先の幕末の生活に少しずつ馴染んでいったようなものだ。

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