またもテレ朝の弱点が露呈…「マルス-ゼロの革命-」の不振は深刻、道枝駿佑主演で視聴者はなぜ離れたのか

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個人視聴率トップでもCM売上高で遅れ

 ミドル層以上にはありがたい局だが、このままでは収益が高まらない。理由をご説明したい。まず主要4局の2022年度の個人視聴率を見ていただきたい。1年間の平均値であり、全日帯(午前6時~深夜0時)の数字である。

【2022年度個人視聴率】
1位:日本テレビ 3.6%
1位:テレビ朝日 3.6%
3位:TBS    2.8%
4位:フジテレビ 2.4%

 テレ朝と日テレはピタリと並んでいる。視聴者のイメージと近いのではないか。ところが、CM売上高は意外な結果になる。

【CM売上高】
1位:日本テレビ 約2369億800万円
2位:テレビ朝日 約1791億4100万円
3位:TBS    約1628億8500万円
4位:フジテレビ 約1603億8000万円

 テレ朝は日テレに600億円近く差をつけられ、個人視聴率では完勝しているTBS、フジにも追いつかれそうになっている。

CMをよく流す企業は多くが若者ターゲット

 その理由は2022年度のコア視聴率(13~49歳に限定した個人視聴率)でお分かりいただけるはず。こちらも全日帯の数字で、1年間の平均値だ。

【2022年度コア視聴率】
1位:日本テレビ 2.9%
2位:フジテレビ 1.8%
3位:TBS    1.6%
4位:テレビ朝日 1.4%

 これが、テレ朝が日テレに大差を付けられてしまった理由である。テレ朝はミドル層以上には滅法強いが、若い視聴者が弱点。コア視聴率争いでは4位だった。

 多くのスポンサーは、行動的な若い視聴者も観てくれる番組のスポンサーになることを望む。また、CMをよく流す企業はゲーム会社、携帯会社などで、その多くが若者をメインターゲットにしている。だから、テレビ局は若者にも観てもらわないと収益が高まらない。

「マルス-ゼロの革命-」は若い視聴者を開拓するために制作されたのかも知れない。仮にそうだった場合、ミッションは今のところ成功していない。どう修正するのかが注目される。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。放送批評懇談会出版編集委員。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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