日大常務理事を電撃辞任した和田秀樹氏が激白 アメフト部“大麻汚染”問題のウラにひそむ「日大改革の“抵抗勢力”と権力の二重構造」

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 日本大学は次期学長に大貫信一郎・副学長(55)を選出したと2日に発表し、アメフト部問題で揺れた大学の「体制刷新」をアピールした。そんな「新生日大」に期待する声がある一方で、今年1月、突如、同大常務理事を辞した精神科医の和田秀樹氏(63)が辞任の裏にある、日大の「ガバナンス不全の核心部」について初めて口を開いた。

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「私の辞任が発表されたのは今年1月12日のことでした。当時、その理由として、“昨秋、和田氏が理事会の内容をテレビ局に話したことが学内で問題視された”と報じられましたが、より正確にいえば、私のほうから『辞めてやる』と啖呵を切ったのが真相です。私を招聘した林真理子・理事長から『進退を考えてほしい』と言われたこともあって、私が職にとどまり続けると改革に支障をきたす恐れもあると判断して、みずから“辞める”と申し出ました」

 こう淡々と話すのは、和田秀樹氏本人である。2022年7月、作家の林真理子氏が日大の新理事長に就いた際、和田氏も「理事長推薦候補」として常務理事に就任。悪質タックル問題(18年)や田中英寿・元理事長の背任・脱税事件(21年)を受けて失墜した日大ブランドの再建を託され、林理事長とともにこの間、「日大改革」に奔走してきたという。

「私がテレビ局の取材に答えたのは、私自身が理事会で発言した内容についてのみで、それ以上は話していません。しかし日大の学部長たちから『許されることではない』との声が上がり、林理事長に“進言”する学部長まで現れた。なぜ、そんなに問題視されるのかが分からず、澤田康広・副学長(当時)が昨年9月に林理事長と面会した際の会話を録音し、それが外部に漏洩した件を私が引き合いに出すと、“漏洩よりマスコミに直接話すほうが悪い”と決めつけられました。この漏洩問題で、澤田氏は何ら咎めを受けていなかったことも含め、私は彼らの主張に正当性を見出すことはできませんでした」(和田氏)

 和田氏と対立した「学部長」とは、各学部の長として校務をつかさどる立場にある管理職だ。日本大学には16の学部があり、各部長による「学部長会議」が学内で一定の影響力を持っていることを、和田氏は理事就任後に知って驚いたという。

「学部長会議」という聖域

「日大ほど巨大な組織になると、校舎が各地に散らばっていることもあり、各学部が“独立国”のような扱われ方をするケースもありました。田中理事長時代のように“強権”をもってすれば話は別ですが、もともとガバナンスが効きにくい面があったのは事実です。大学の最高意思決定機関は理事会ですが、林理事長の就任以降、その理事会に女性をはじめ新しい人材が登用されたことでメンバーの顔触れも変わりました。しかし学部長会議のメンバーは全員男性で“田中時代”に就任した面子が多く残っていました」(和田氏)

 和田氏によると、アメフト部の存続を最後まで主張した澤田氏とその任命権者である酒井健夫・現学長の辞任について、「その必要はない」と声を上げたのが学部長会議だったという。ちなみに澤田氏は、アメフト部の学生寮で大麻と見られる植物片が見つかった際、「学生に自首をさせたい」との考えから警察に提出することなく12日間、学内で保管していた人物だ。

「実際に私も耳にしたことがあるのですが、3月末で退任予定の酒井学長は、林理事長に『経営が教学(現場)に口を出すと、田中(英寿)さんと同じになる』と忠告していました。私には、その言葉が改革に取り組もうとする林理事長の手足を縛る“呪文”のように聞こえた。いろいろな解釈はあると思いますが、“学部長会議が不可侵の存在”と誤認させかねない危うさを秘めていたと思います。事実、学部長会議の決定を理事会が追認するだけのケースも少なくなく、理事会以外にもう一つ、大学の方針に影響を与える組織があったとの印象です」(和田氏)

 自身の辞任と昨年から続くアメフト部をめぐる混乱も、この「権力の二重構造」が影響しているという。

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