能登半島地震で台湾から約25億円の寄付金 「124」の数字が注目 なぜこんなに多くの額になったのか

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 台湾政府は1月22日、能登半島地震の発生によって国内で呼びかけられた募金活動を通じ、民間からの寄付金が5億4000万台湾ドル(約25億円)に達したと発表した。そもそも1月4日に台湾政府として6000万円の寄付と、行政院(註:日本における内閣)が民間寄付用の口座開設を発表していた。

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 25億円と言われても、巨額過ぎてピンと来ない方も少なくないだろう。例えばキャンプ用品大手のスノーピークは2022年春、新潟県三条市の本社敷地内に複合型リゾート施設、「フィールド スイート スパ ヘッドクォーターズ(FIELD SUITE SPA HEADQUARTERS)」をオープンさせたが、発表された総工費が25億円だった。

 25億円あれば、温泉施設、レストラン、そしてホテルが建設できる。担当記者は「台湾からの寄付金は桁外れの額と言っても過言ではありません。日本人の間からも感謝は当然として、驚きの声が上がっています」と言う。

「世界各国で募金が行われていますが、台湾ほどの額は今のところ類例がありません。欧米各国も手厚い支援を表明しているとはいえ、ニュースになるほど寄付金が集まったというわけではなさそうです。韓国では経済団体『韓国経済人協会』が1月22日、大韓赤十字社に50万米ドル(約7400万円)を寄付し、これは日本でも報じられました。率直なところ、台湾と韓国以外で寄付がニュースになった国はありません」

 ちなみに共同通信は1月22日、「復旧へふるさと納税39億円 『代理寄付』で事務負担減」の記事を配信した。ふるさと納税の仲介サイト、主要3社に集まった「返礼品のない寄付金」の合計額が1月22日現在で39億円に達したという内容だった。

ワクチンの恩返し

「日本人が、被災で苦しんでいる同じ日本人を助けようとして39億円が集まったというニュースは素晴らしいことですし、理解は簡単でしょう。ところが台湾の人々にとって日本人は外国人であり、直接的な関係性は希薄です。にもかかわらず25億円が集まったということは奇跡と言っても過言ではないと思います」(同・担当記者)

 なぜ、ここまで台湾の人々は募金を集めてくれるのか──産経新聞の台北支局長である矢板明夫氏は「2021年6月、日本政府は台湾にアストラゼネカ社製の新型コロナワクチンを提供しました。これに対する恩返しという側面があります」と言う。

「世界のどの国よりも早く日本のワクチンは届き、最初に日本航空が輸送した数は124万回分と台湾メディアは一斉に報じました。そのため能登半島地震での寄付で『124』という数字を使った台湾人が目立ちました。私の知人の医師は124万台湾ドル(約580万円)を寄付しました。これは桁外れに高額ですが、1万2400台湾ドル(約5万8000円)や1240台湾ドル(約5800円)という金額を選んだ人はかなりの数に上るはずです」

 台北市内では、街のあちこちに日本への募金を呼びかけるチラシが貼られ、コンビニには募金コーナーが設置されているという。

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