「組織より自分の政治生命を優先」 萩生田光一前政調会長、派閥の総会から“雲隠れ”の舞台裏

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 自民党派閥の裏金事件を受けて、自身が会長を務めた宏池会の解散を表明した岸田文雄総理には「党より政権の存続を優先した」という怨嗟の声が少なくない。

 一方で、逮捕者を出した最大派閥の安倍派幹部には「組織より自分の政治生命を優先した」との評が。“5人衆”の一人、萩生田光一前政調会長のことである。

「1月19日夜、党本部で安倍派の議員総会が行われ、全会一致で解散が決議されました。会はおよそ1時間半にわたって紛糾しました」

 とは安倍派の中堅幹部。

「若手からは“早く解散すべきだ”との声や、幹部の責任を問う意見が飛び出した。西村康稔前経産相や松野博一前官房長官、世耕弘成前参院幹事長、そして高木毅前国対委員長の四人はうつむき加減で沈黙。お家存続の可否を仲間と議論する重要な場でしたが、萩生田さんの姿はありませんでした」

子飼いの候補者の応援に

 かつては会長の座を目指した派閥の、大事な場面で雲隠れ。その行く末を打ち捨てて向かった先は、自身の選挙区(東京24区)がある八王子市だった。2日後に控えた市長選挙に出馬していた、子飼いの候補者の応援に駆け付けていたのだ。

 自民党の都連幹部が言う。

「萩生田さんが来たのはJR八王子駅近くの、自公が推薦する初宿(しやけ)和夫候補の演説会場でした。ただ、裏金問題に関する聴衆からの質問を嫌がったのか、街宣車には上らず、その脇で笑みを浮かべるだけ。ついぞマイクを握りませんでしたが、“オレが表に出過ぎるとマイナスになるだろ”と理由を周囲に話していました」

 選挙戦は事実上、三つどもえの争いとなった。元都庁職員の初宿氏、小池百合子都知事が特別顧問を務める都民ファーストの会に所属していた滝田泰彦元都議、同様に元都民ファ所属の元都議で、日本維新の会所属の衆院議員秘書の両角(もろずみ)穣氏の三人である。結果は初宿氏が激戦を制した。

「意外にも、都知事は都民ファOBの二人ではなく初宿を応援した。理由は昨年末の江東区長選の際、自公と密約を交わしたからだとされています。“江東区では都知事が支援する候補を自公が推薦する。その代わり都知事は八王子で元都民ファを応援しない”との内容だったとか」

 実際、江東区長選では小池氏が推す候補が当選した。

「双方が取り決めを守った結果、八王子では与党サイドが勝利した。この密約を裏でまとめたのが萩生田さんだったといいますね」

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